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smashing! かわいいのべつのいみ

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗。彼は佐久間の病院の経理担当である税理士・雲母春己と、伊達の後輩・設楽泰司の恋人。

午前中からただいまあ、誰もいないってわかってても挨拶はしちゃうよね。ここしばらくは雲母ハルちゃんのペントハウスが拠点。設楽もハルちゃんも今日夜遅くなるってゆってたし、二人帰ってくるまで半日以上あるねえ暇よねえ。

夜勤明けだけど目冴えてるから、作り置きでもと思ってカンタンで美味しいシューマイを作り始めたらまあ、何をどう間違えたのか握っても握ってもタネが減らないていう。あれ俺なんか間違えた?よくよく見たら材料の掛け算三倍くらいにしてた。あーこれあるある寝不足のやつ。

というわけで今回の作り置きはシューマイオンリーね。冷凍庫に無理くり押し込んで洗い物すませて、そしたらようやく眠気が来たからね、麺でも食べて風呂入って寝よ。煮麺にしよ。俺もハルちゃんも好きだから、夏過ぎてても設楽が買っといてくれてるん。ダシダとキャベツとウィンナー、そこに素麺入れて終わり。キッチンで立ったまま食っちゃうめんどいし。一人でよかったん、ちゃんと座って食べてくださいってなるからね。

バスタブにハルちゃんおすすめのエプソムソルト入れて、ぼんやり天窓を仰ぐ。ここは空が見えるお風呂で、すごいイイんよ風情があって。今日は快晴で空も真っ青。あーいいなー買い物行こうかなあ、普段ならそう思うんだけど、煮麺軽く二人分くらいになっちゃったの食べたら、もはや眠気以外の欲がね一掃されてんのよ。

ああ、髪乾かすの面倒だからこのまま寝ちゃおう。そのへんにあった部屋着手探りで出して着たらパジャマだった。しかも設楽のじゃんこれまあいいか。自分の部屋行こうと思ってちょっと考えて、ハルちゃんの部屋のドアを開ける。

全員カギも掛けないしオープンだから、好き勝手に入っていいルールがある。ハルちゃんの部屋はハルちゃんのいい匂い。すごくいいんよ、残り香的な感じが。ここに寝かせてもらお。しなやかでシュッと音のするベッドリネンは、ハルちゃんのこだわり。柔らかいシルクとかが好きなんかな、最初はそう思ってたんだけど、こういうところに性格が出てるんね。

きちんとメイキングされてるベッドに勝手に潜り込む。あーさらさら気持ちい。いつも一緒に寝てたりするのに、一人だとすごく新鮮。あ、そうか、俺一人だから体温が足りないんか。さらっとしてて少し冷たくて、でもすぐに肌に馴染む。ああ、もういいや寝ちゃお、このまま。最高なんよね、ハルちゃんに包まってる感。そして、空気も何もかもハルちゃんに侵食されてくような。

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「雲母さん、そろそろ起こしていいですか?」
「す、すみませんもう少し…なんて愛らしいんでしょう伊達さん、僕のベッドで寝ちゃってるだなんて♡」

設楽と雲母は帰宅早々、この案件に遭遇。

二人は携帯で延々伊達を撮り続けている。起こしたくないけどそろそろ起こさないと、そう言いながらも設楽の目尻も心なしか下がっている。無防備で可愛い、そんな微笑ましさも下半身には別の刺激として伝わるらしく、設楽のシダラは既にボキーン臨戦状態だ。まだお預けですよ設楽くん、雲母は嬉しそうにその光景も携帯に収めながら、ようやく伊達の肩に手をかけ、優しく揺すり始めた。


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