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smashing! すきすぎてドローななかで

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。年末29日から年始は8日までお休みです。

去年の年末は、スノボだかスキーだかの帰りに、佐久間の兄の達丸和尚とその幼馴染の真々部が大量のふるさと便を持って佐久間家に立ち寄ってくれたのだが、大晦日の寺の行事があるからととんぼ帰りで帰ったのだった。そんなあの人たち、今年は真々部の本業がちょっと忙しいらしくお出かけはお預け。なかなか一緒に遊べんのだわ、達丸はちょっと寂しそうに佐久間に電話を入れてきた。

「お兄さんつまんなさそうじゃなかった?」
「そうだなあ、真々部ママちゃんはムードメーカーだから、癒されるんだろうな」

喜多村と佐久間は簡単なお節料理を仕込みながら家呑み。キッチンでちっちゃいイスに座ったままでちまちま作業。あれだ、昆布巻きの帯を結ぶのってけっこう大変だな。

「お節は酒に凄く合うから、作りすぎてもなんてことないけどな!」

喜多村は三個に一個をつまみ食いしながら笑っている。おまそれ腹一杯になっちゃうやつ、佐久間は保存容器に出来上がったものを詰めていきながら、ふと思いつく。年始から誰が来るか読めないので、どっちかっていうと肉とか揚げ物なんかも準備しておいたほうがいい気がするが、どうだろうか。佐久間の意見を受け、作りすぎそうなお節はいったん止め、オードブル的おつまみ系兼ガチ飯ストック料理を作ることに。幸い達丸和尚からのふるさと便が届いたばかりで、鶏肉も大量にある。唐揚げとか鶏団子とか、とりあえず揚げるばっかにしておけばこの時間からでも作りやすいし。二人は黙々と肉を切り粉を合わせまぶしていく。

ようやくある程度の冷凍ストックが出来たのは夜の十時過ぎ。さっと片付けて明日の餅とお節を用意して、粉だらけのなった二人はそのまま風呂に。バスマットの上にいつもいる犬のリイコは、今日はどうやらコタツ付近にいるらしい。リビングをチラ見した喜多村が、尻尾がはみ出してた、と言って笑う。

なんだかんだで二人一緒に入るのって久しぶり。年末忙しかったからなあ、お互いに粉を散らかさないように慎重に脱がせあって浴室に入る。体を流そうとした佐久間をいきなり浴槽に押し込んで、喜多村は後ろから佐久間を抱えてきつく抱きしめた。何だよいきなりだな、少し不満げに口を尖らせた佐久間の耳元で、喜多村は息を潜めて。

「無防備ってのが一番危ないんだぞ」

佐久間が自分の前で全く緊張せずにいることが、却って己のピーーを呼び覚ますんだ!千弦の言ってることはわかるけどわかんないよ、浴室の明るい照明の下、それでも真正面からは喜多村の顔を見れない、そんな佐久間も喜多村は大変にお気に入りのようで。

大晦日もこの先も、じりじり互いを好きすぎてドローな仲でいてほしいと、中の人も願っているわけです。来年もよろしくお願い致します💖

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