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smashing! たりないをあたためて

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。

水曜は午前のみなので、片付けや残務を終えた昼過ぎからは半日休み。喜多村は実家がらみの用事で出掛けて行ったので、佐久間は久々のソロを満喫。どうせなら、いつも喜多村のしている昼風呂、佐久間も入ってみることに。どうやら今日、夏日だったからと言って掛けていた冷房で、少し体が冷えてしまったらしい。愛用のエプソムソルト・グレープフルーツの香りを入れ、浅めに張った湯に浸かる。

風呂場の窓を開けると、目に痛いくらいの強い日差し。眩しさで真っ白に映る屋外を眺める。さぞ今頃喜多村は喜んでいるだろう。サンシャイン大好き性欲魔神。あ、今頃はお手伝い魔神か。湯に煌めくプリズムが、佐久間の目の前できらきらと踊る。

浴槽の縁に置かれた小さなバスピローに頭を預け、佐久間は目を閉じる。ああ、せっかくタブレット防水のに入れてきたのに。あのメールはもっかい読んどかないとだなあ。色々な雑多な感情が浮かんでは消えるうち、佐久間はいつのまにか眠ってしまった。


揺り起こされた気がして目覚めた佐久間の前に、喜多村の満面の笑顔が。あれ俺今何してた?さすがのボケ倒しだな鬼丸!嬉しそうな喜多村がいつのまにか浴槽に一緒に入っている。そして湯はなみなみと溢れている。

「既読つかないから、早々に終わらせて帰ってきた!」
「俺寝てたんか…起こしてくれてありがとうな」
「フェアじゃないからな」
「ん?」

寝込みを襲うのは。佐久間の唇を素早く掠め取り、喜多村はそのまま佐久間を引き寄せて。既に魔神化したそっちが気になって仕方ない佐久間は湯の中で細やかな抵抗をする。いや無駄なんだけどな。押し付けんなよお!そんな佐久間にますますボルテージが上がる喜多村。

疲れをとって温まる筈の風呂でのあれやこれや、でもココロの充電にはなり得てるきっと。たぶん。



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