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smashing! おまえのもじがつづるのは

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。水曜は午前中のみ営業です。


午前中で終わっても割とすぐには片付かない日もある。患畜が多かったりはよくあることなのだが、特に混んでもないし暴れ犬や猫(?)もいなかったのに、だ。おそらくは問診のタイミング、そんなようなもののズレ。なるべくなら家での様子を詳しく聞きたい、なにか問題行動があれば早めに対処したい、佐久間と喜多村のこだわりがそうしているのだろう。

カルテにみっちりと書き込まれた文字。それをパソコンに入力してデータ化するのだが、急ぎメモしたことは判別が難しかったり。なんだこれ?め?ぬ?そんな時頼りになるのは喜多村だ。どんなに崩した文字だろうが薄かろうが即解読。学生時代に宅配のバイトリーダーだった経験が役に立ってるんだろうな、喜多村はそう言って呑気に笑っているが、それってあれだ、一種の特殊能力なんじゃないかと佐久間は断言する。

それともうひとつ、佐久間がおそらく気づいてないこと。喜多村は確かに悪筆文字の判読を得意とするが、100%解読できるのはそう、佐久間の綴る文字のみということだ。

鬼丸の文字には全部「俺のこと好き」って書いてあるんだぞ。

…かどうかは定かではないが、ペンを持つ佐久間の手元をさり気に凝視観察し続ける喜多村のその愛は果たして。迷走か愛かと問われれば、彼はおそらく何と答えるのだろうか。


てかちぃたん、お前さ重いんじゃ…(伊達)



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