smashing! みえないところのもんしょう
佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗と経理担当である税理士・雲母春己は付き合っている。そして伊達は後輩の設楽泰司とも恋人同士である。
自分の体のどこがどうなってるかなんて、普通そんな知らないよね。見える範囲ならわかるけども、こと背面とか。あと頭とか耳裏なんかも。
「設楽はなんでそこばっか気にしてるん」
「あ、すいません。ここ気に入ってるんで」
俺のどこの何がお気に入りなんよ。二人で布団入ってる時とか設楽がやたら触ったりチューしたりするところがあって。合わせ鏡してもいまいちよくわかんないし、たまにハルちゃんに見てもらっても、大丈夫問題ありませんよンフ♡。そんなでね、返ってくる返事がおかしいの。
うっかり他所で露見して何らかの問題になったら面倒なので、設楽に画像を撮ってもらう、ていうか撮ってくれって強要してみた。
「…撮れまし…っ………っ……」
「えなんでお前笑ってんの!それ爆笑のやつ!」
設楽は全身プルプルさせながら携帯の画面を向けてくる。もー笑いすぎじゃないの。不満げにその絵面を確認。よく見ないとです。設楽のアドバイス通りによくよく見たら。
肩甲骨の肩先あたり、なんかいる。ホクロていうか薄いそばかすみたいな点々がね、丁度イヌかクマの顔みたいな配置んなってる。ナニコレ。この箇所まともに見ようとしたら全身変な骨折しかねないとこだわ。んで明らかにその周辺がピンクなんよね。おまコラ吸い上げただろ色ついてるしどうすんのよ見られでもしたら。
「???オレらの他に誰も見ないじゃないですか、こんなとこ」
「まあ大丈夫だろうけどねえ。しっかしよく見つけたねえ」
雲母さんが教えてくれたんです。えーそんな話俺きいてない何でえええ!俺の抵抗はいつものようにあっさり押さえ込まれ、クマワンコの紋章は見えなくなる。それでも設楽の指先がするすると、クマワンコを探して動いてるの感じて、あーもーって身を任せる。
流される、とは少し違うけど、流れに身を任せる大事さは、この二人のほうがよく知ってそう。そんなふうに思った。
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