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smashing! キモチイのあつかいかた

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。そこで週1勤務をしている、大学付属動物病院の理学療法士・伊達雅宗。彼は佐久間の病院の経理担当である税理士・雲母春己と、伊達の後輩・設楽泰司の恋人。

しばらく佐久間んちに泊まってたんだけど、朝ペントハウスに帰ってきたら雲母ハルちゃんがいた。昼過ぎから仕事の予定だったハルちゃんと一緒にお風呂入って、久しぶりだったからねえ、ちょっと俺が抑え効かなくてガバッといったらガバッと返され(略)ほんの1時間足らずでヘロヘロにされた俺は、リビングのコタツでふわもこ装備で丸まったままハルちゃんにいってらっしゃい。今日も格好良いスーツで歌いながら出かけてったわあの子。全身光り輝いてる感てか体力。

ご飯一緒に食べようと思ってたんだけどそれどころじゃなかったん。お腹がすいた。何作ろうかな、とりあえずコーヒー飲みたいん。なんか今日甘いのんじゃないのがいい。男はブラックですよブラックってめったに飲まないんだけども。豆がいいと何も入れなくても美味しいし。コーヒーメーカーに仕掛けてまたソファーに戻ったら、設楽からメール。

「帰りなにかお遣いはありますか?」

そうかあいつ今日通常シフトか。ここ数日設楽は実家から通ってたから忘れてたん。んじゃああれ頼もうシナモンロール。でっかくてものすごい甘くてアメリカンテイストの。なんか今日甘いのんじゃないのがいい、とか何言ってんのねえ、まあ俺なんだけど。

設楽が帰ってくるんならちゃんと飯作るかな。冷蔵庫開けたらいいのが入ってた豚バラブロック。茹で豚、スユクにしよかな。これなら仕掛けとけば楽だからねえ、リンゴもローズマリーも、玉ねぎ、ネギ、調味料あるし。あとは冷凍庫にあったチャーハンみたいなやつも出して。

コーヒーいい匂いしますね。あのさ、今の今までこの家俺しかいなかったと思うんだけどね、キッチンで鍋見張ってていきなり真横で話しかけられるとかね、もはや驚きもしないんよビックリしすぎて。驚きとビックリは同じかと、そういうツッコミはいいの好きにさせてえ。

スユク40分くらい煮るから、ご飯の前に設楽に買って来てもらったでっかいシナモンロールと、丁度淹れたてのコーヒー。オレ2個いっていいですか、袋の中には特大シナモンロールがなんと6個。一人2個の計算です、ウンでも俺とハルちは1個ずつでだいじょぶ、4個もらえることになった設楽は少し嬉しそうだ。ガッといって、ガガッと咀嚼。ウソだろ3口くらいで完食?この食べっぷりはほんと見てて気持ちいねえ。

伊達さんここついてます、設楽の指が自分の口元を指す。えどこどこ?甘いアイシングが残る口の端を、近づいてきた設楽の唇が、ぺろっと音を立て舐め取る。そのままそれを重ね合って味わって。そういや一緒に撮影会しようってゆってて設楽が忙しくなってそのままだったん、ハルちゃんと同じく、設楽ともこういうキスは久しぶりだ。

また一緒にコス撮影行ってください、あ同じこと考えてたん。鼻くっつけて甘えるように。昼間からハルちゃんとバスルームで一連の流れを楽しんだにも関わらず、俺の中に残るキモチイが、設楽を全部味わおうとしていて。

伊達さんいったんスユクの火落としてきます、設楽のちょっとだけ残ってた理性が、こういう時には助かる。ああ、このキモチイってやつはほんと、自分じゃどうしようもなくせっかちで寂しがりで、しかも底無しの食欲を備えてるんだから、始末が悪いんよね。


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