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smashing! ぼくらさんにんのルールで:Re

佐久間鬼丸獣医師と喜多村千弦動物看護士が働く佐久間イヌネコ病院。この病院の税理士・雲母春己は二人の先輩である理学療法士・伊達雅宗と恋人同士、そして伊達の彼氏になった設楽泰司と、三人一緒に暮らしている。

ちょっとだけ遅く起きた伊達軍団。各々出かけていく設楽家の面々と一緒に朝ごはんを食べ、お見送り。その後三人まとめてシャワーを浴び、今日は車で近隣の道の駅に出かけることに。

「このあいだオープンしたお店があって、ものすごく大きなハンバーガー、A5ランクのお肉でですね」
「あそれ知ってるう!教授もゆってた」
「急ぎましょう並ぶかも」

設楽の言葉に急いで支度する三人。今日は全て設楽の私服を拝借、雲母も伊達も、ちょっと大きめボーイフレンドサイズ的な装い、フーディ、ダウンにジーンズ。ぱっと見もう学生だかヒップホップの方々にしか見えないし。バケットハットやキャップも装備し、設楽のハマーに乗り込んだ。

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「一人二つでいいですか?」
「いや、俺とハルちは一つずつでいいよう」
「じゃあ四つ、テイクアウトも四つで?」
「ウン、そんでいいや」
「御意」

設楽のお腹どうなってんだろね、伊達と雲母は眺めのいい奥の席でカプチーノを飲みながら、設楽の後ろ姿を追う。設楽くんはどこにいても目立って素敵ですね、雲母はいつものように動画撮り。他の方々がご不快にならないようスマートかつ目立たないように、それが鉄則なのです。違った方向の力説が始まったところで、設楽が戻って来た。トレーの上にすごいなんかでっかいレタス大の群れが。聳え立つ肉たっぷりハンバーガー、添えられたのは大量のフライドポテト(サービス大盛り)。

「これは素晴らしいですね」
「すげえ美味いやあ、来てよかった!」
「丁度いい大きさですね」

二つのハンバーガーが見る見るなくなっていく様は実に爽快。設楽は手も口の周りも汚さず平らげていく。伊達と雲母はまだ三合目あたり。さっきチーズクリームをサンドしたチーズケーキってのがあったんですが買って来ましょうか、お願いします。伊達と雲母は同時に答えた。三合目も八合目も登っちゃえば同じ。そうかこれがフードファイトの心得か、この時点でもはやお腹も胸もいっぱいなんだが、そうも言ってられない。

伊達はふと我に帰りペースを落とした。いかんいかんつられて焦ってたん、大丈夫チーズケーキはお持ち帰りでしょうから、美味しい物は美味しく頂きましょう。急がずゆっくりと味わいながら食べる雲母。席に戻って来た設楽の持ったトレー、切り分けたチーズケーキ一つ分、チーズケーキに合うブレンドコーヒー、そしてテイクアウトの分。皆で分けて食べましょう、さすがわかってるねえウチのフードファイター。オレのペースに合わせると皆沈みますから、一応気遣ってくれてんのね。

フライドポテトまでしっかり完食、そして口にしたチーズケーキはまさに天使のなんとか。よかった全然別腹でいけますね、雲母が興奮しながら伊達にケーキを「あーん」してくる。伊達は迷わず食いついた。塩っぱいあとの甘いのん。これは最高のやつ。こうして最高を味わっては、満腹っていう更に最高の心地良さを満喫する。食べるってのは気分がいいねえ、それはそうとオレまだ腹五分目で。じゃあ僕は追加でスパークリングワインいいですか?マイペースな二人に伊達は笑いを堪えながら、なんでも好きなもん好きなだけ食べていいよお、二人の主君らしいお許しを出すのだった。


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