本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
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底から始める
今号で扱う『静かなるリーダーシップ(Quiet Leadership)』の著者だるデイビッド・ロック氏は脳神経科学にいち早く着目し、脳神経科学者とビジネス・リーダーを集めて「ニューロリーダーシップ・サミット」を創設した人物として知られる。『静かなるリーダーシップ』については、横のコラムで以下のように紹介されている。
『静かなるリーダーシップ(Quiet Leadership)』は日本語に訳されていないが、それよりも後に出版された『Your Brain at Work』は『最高の脳で働く方法』として日本語訳が出版されている。
『静かなるリーダーシップ』での議論は主に、結果・行動・感情・思考の4要素の関係性を示した『氷山モデル』に基づいている。図にすると以下のようになる。
思考は感情に影響されるという考え方もあるが、ここでいう「思考」は自分でも気付かない固定された「思い込み」という意味合いで理解すべきであろう。例えば、あることについて不快な感情になったとき、「なぜ私は不快に思うのか?」と自らに問うてはじめて気づく「思い」がここでいう「思考」である。それは、2016年12月号でいう「習慣的思考」でもある。それは組織が次のレベルに上がっていくために打破するべき「思考」ということだ。
Heidi Buus Beldamのアハ体験
「静かなる」は、うるさくメンバーに指示をしてまわるリーダーとは対照的に、メンバーの奥底にある「習慣的思考」をその人が自力で自然に変わったと思うぐらい密やかに影響を与えるイメージである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎は、皆が笑顔でもりあがりやすく、比較的活発なワークショップになるが、参加者が誰から命じられるのではなく自ら納得して変化を起こすように導くという意味では「静かなる」ものになる。
そこにある関連性とは?
Artfulは「巧妙な」という訳語を当てた。意味合いとしては、ワークショップ実施の文脈をしっかりと把握して、最も効果的にカスタマイズするということになる。
ここで指摘されているように、レゴ®︎シリアスプレイ®︎では、ある問いに対して自分の意見を表現したモデルをつくり、それを共有することになるが、参加者はお互いの話を聞きながら、(意識しなくとも脳の中では)相互の関連性を探っている。進行中のファシリテーションによって相互のモデルの関連性を探ったり表現させたりすることでアハ体験を起こせるときがある。それは参加者自身がワークの中で自ら気づくので、誰かに導かれるという感覚ではなく、自らが自分自身を気付きによって導くという感覚で気付きにもとづく行動へとモチベートされるのである。まさに「静かなるリーダーシップ」がそこに生まれるのである。