本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
この記事の引用元原文はこちらのPDFから読むことができる。
冒頭にあるように、今号は全員が対等に参加するプロセスの重要性について扱っている。
この「20-80の会議」というフレーズは本当によくできていると思う。悪い会議の本質を非常にシンプルに捉えている。貴重な知見の発見機会を奪うこと、理解してもらえないというフラストレーションが広まることが組織にとっていかに大きな損失か、LSPファシリテーターもクライアント(候補)にしっかりと理解してもらう必要がある。
時代を超えて愛されるリーダーの条件
「信頼」が長らく人間社会の編成原理でありつづけてきた故に、それは、われわれの脳底にある原始的で自然で、好ましい感覚となっているという指摘は注目に値する。確かに、信頼のおける人々との協働は、他の人に対する心配というエネルギーの消耗を避けることができる。そして、その分だけ創造的な個人活動や協働にエネルギーを注ぐことができるようになる。「20-80」が続くと20以外の人の考えていることがわからないため全体への「信頼」はなかなか高まらないということになる。
引用冒頭の「この呪い」の構造については、横のコラムに写真と共に文章が添えられている。
「数人の支配的な人が議題を決め、引き継ぎ、内容の組み立て方を制限してしまう」のは、支配的な人が議論を確実に先に進めたいと思う気持ちから起こっていると考えれば、支配的な人なりに「良かれ」と考えての行動だということになる。そうであるにもかかわらず、結果として皆にとって悲劇である。まさに「呪い」である。
リーダーシップはモチベーションを殺す
大きな組織に関わらず、その組織の環境が変化し、それに対応していくプロセスの中で、結果の「平等」は常に脅威にさらされる。環境の変化に合わせて組織の中で活躍できる(結果が出る人)人に偏りが出るからである。そして活躍した人に対して褒賞で報いれば、活躍の機会のなかった人(環境が求めていない結果、結果が出なかった人である)は不満に感じるだろう。活躍した人に何も与えなければ、今度は活躍した人が不満に思うであろう。
平等を実現するために
結果の「平等」の実現が難しければ、プロセスの「平等」を作り出すしかない。つまり、皆がそれぞれ同じ努力をすることで組織に貢献するということである。会議であれば、皆が同じように会議に関わるということである。最終的に誰かの発言や意見が採用されるかもしれないが、皆が等しく関わって結論が出されることが大事となる。同じように、誰かがリーダーシップを取ることになるかもしれないが、誰がリーダーシップを取るかについて皆が等しく関わってそのプロセスの形成が重要である。
われわれファシリテーターは「平等な」プロセスにこそ価値創出の源泉があることを忘れず、その「平等な」プロセスを際立たせながら、ワークショップを展開するようにしなければならない。