初めての1人?暮らし|フロリダ留学記
2年前の8月、私は迫り来る留学が楽しみで仕方がなかった。
人生で初めて、やりたいことを「自分で」実現するような気がしたのだ。
ひとまず今回は留学に至るまでの流れと、留学生活の始まりを書いてみる。
留学の決め手
大学入学に至るまでというもの、私の人生はまさに、敷かれたレールの上を走るようなものだった。
小学校高学年の時、気づいたら塾に入っていて、中学受験をした。
その後中高一貫校に入学し、それなりに学生生活を楽しんで、高校生になってからは大学受験を意識。
勉強をかなり頑張って、今通う大学に入学した。
敷かれたレールの上を通ることは、何も悪くない。もちろん、中高大と私にあらゆる機会を与えてくれた親にはすごく感謝をしているし、私はすごく恵まれている。
でも、自分で決めたと思ったことがいつも「普通」であることが不満だった。
自分で、自分の意志で決めたことなのに、周りの影響で、構造の中で、決めさせられているような心地が拭えなかった。
中高にて、帰国子女の友達と多く出会い、英語を話す彼らに憧れていたことや、大学受験で日本の教育スタイルに辟易したことが重なり、大学入学時には「在学中に必ず留学する!」と心に決めていた。
どこに留学しよう?
留学関連のことは全部自分でやる、と決めていたので、さまざまな手続きは全て一人で進めた。
これは当たり前のことだけれど、親に頼ってばかりだった私にとっては、面倒臭い書類を準備することもほぼ初めて。
自分で自分に責任を持つ、良い勉強になった。
帰るまでが遠足、ならぬ、留学を決めた時からが留学なのである。
さて、大学一年の夏、留学先を決める時期が来た。どこに留学しよう。
真っ先に頭に浮かんだのは、アメリカだった。
中学3年生の時に、家族でニューヨークに行った時の楽しさを鮮明に覚えていたし、高校一年生の時に大ハマりしたドラマ「ゴシップガール」にずっと憧れていた。
よし、アメリカだ。ニューヨークしかない。
METの階段でヨーグルト食べたいし。
留学先候補の募集要件を詳しく見てみる。
そこにはこのような表記が並んだ。
「必須GPA:3.5 TOEFLスコア:100」
たっっっっっかい。
GPAもTOEFLスコアも高い。足りない。
留学に高いGPAが必要なことは知っていたけれど、大1の一学期で少し遊びすぎてしまった。
私のTOEFLスコアは、足元にも及ばなかった。
この現実を見て、これは「行けるところに行く」しかないのだと悟った。
私の頭の中のマリブが「入れる大学入って、行ける留学先行くんだ?」と囁いたけど、一旦無視をした。マリブも結局入れる大学に入ったし。
マリブとは、ドラマ「ゆとりですがなにか」のマリブである。
話を戻すと、私はニューヨークのみではなく、オハイオやボストン、カリフォルニアやフロリダなども留学先の候補に入れて、志願書を出した。
候補先を選ぶうちに、アメリカに留学できるのであれば、どこでも楽しむ覚悟と自信は身についていたように思う。
そして、大学一年の秋頃、フロリダ州立大学(FSU)への留学が決まった。
いざ留学初日。初めての1人?暮らし
時を飛ばして、留学初日。
私はフロリダ州の州都、タラハシーに降り立った。空港の周りは何もなく、木々の緑と空の青さが目立った。
空港には、私の留学をサポートしてくれるメンターのグレイスが車で迎えに来てくれた。
初めての現地の人との交流だ。緊張する。
グレイスはすごく気さくに、わかりやすい英語で話しかけてくれていたと思う。
私もなんとか、拙い日本語で話してみる。
車に乗る間、何を話していたのかは思い出せないけれど、キャンパスまでの景色がすごくのどかで、天気も快晴で気に入ったことと、グレイスが「that sucks!」とたくさん言いながら笑っていたことだけは覚えている。
初めて覚えたネイティブフレーズ、「that sucks!(最悪だね!)」である。
私が住む寮は全て2人部屋。まだ私のルームメイトは来ていないようだったので、ひとまず数日間は部屋に1人だ。
部屋の両端には、裸のシングルベットが一台ずつ、バスルームにつながる扉の横には洗面所が付いていた。
とてもがらんとしていたけれど、小さな窓から差し込む光がなんだか暖かかった。
グレイスが「まだルームメイト来てないなら、部屋の奥側のスペース取っちゃいなよ!」と言ってくれたので、言われるがまま奥側のベットを私の陣地にした。
確かに、奥側の方が部屋を広く使える気がする。
軽く荷解きを済ませた後は、グレイスに簡単にキャンパスツアーをしてもらった。
今後の記事でも書くけれど、アメリカの大学のキャンパスはありえないくらいでかい。
ただビルが並んでいるのではなくて、芝生や広場が各所にあるし、キャンパス内にクリニックやジム、シアターなどあらゆる施設が詰まっている。
キャンパスそれ自体が、街として機能しているような感じだった。
グレイスと一緒に教室やジム、食堂などの場所を巡り、学生証を作るのも手伝ってもらった。
それらを終える頃には段々と日が暮れ始めていたので、ここでグレイスとは解散。
1人部屋に帰って、荷解きを進めた。
ここで気づく。
やばい。
布団がない。
枕もない。
今日グレイスに買い物に連れて行って貰えばよかったのに、完全に忘れていた。
仕方がないので、持ってきていたバスタオル2枚を枕と毛布がわりにして、眠りについた。
冷房が強烈に効いていて、足先は凍えるように寒かった。
これが、私のはじめての、1人?暮らしの始まりだった。
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