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「こうありたい」を可視化して知ることができる、自分の本当の長所

こちらの記事は、2019年3月16日17日開催の第17回聞き書き甲子園フォーラム(※)内で100人の高校生向けに実施されたワークショップのイベントレポートです。講師は兼松佳宏さん(勉強家/京都精華大学人文学部 特任講師)。

聞き書き甲子園に参加した高校生たちが東京に集まり、森や海・川の名人への取材成果を発表するプログラム。


「自分を認めてくれる自分がほしい」
それは、私が毎日の生活で何か迷ったり悩んだりした時に、いつも最後にたどり着く言葉だった。

書き手:高橋龍晟(たかはし りゅうせい)              公立鳥取環境大学2年生(第14回聞き書き甲子園に参加)

私の周りには、幸せなことに、家族や友達など、自分のことをほめてくれる、認めてくれる人がたくさんいる。もちろんほめられると、嬉しくてつい頬が緩くなってしまう。

しかし、後になって考えてみると、「さっきのはただのお世辞じゃないのかな」とか、「今の自分は、本当にその言葉に足りうる存在なのかな」とか、気づいたら自分でも意味の分からない思考をぐるぐると巡らせていることがよくあった。

心の奥で、どうしても、ここで満足しちゃいけないような気がしていた。それがポジティブで謙虚なのか、それともただネガティブなだけなのか。それすらも判断できなくて。そもそも判断しようとしていること自体ナンセンスじゃないのかな。

頭の中に雲みたいにふわふわとした「自分」をたくさん生み出してきた。

そんな中、自分を認められるようになるための1つのチャンスに出会った。それが、『beの肩書きワークショップ』だ。

2019年3月17日に開催された「第17回聞き書き甲子園フォーラム」内で、聞き書き甲子園に参加した100人の高校生向けに行われて、私もスタッフの1人として参加することになった。

講師は京都精華大学人文学部の特任講師であり、元greenz.jp編集長の兼松佳宏さんだ。

ここでは、ワークショップに参加してみて、私が思ったこと、私の考え方がどう変化したのかについて、書いてみようと思う。

beとdo

beとは、「その人のあり方」を指している。「beの肩書き」と対になる概念として「doの肩書き」があり、「何をする人か」という意味で使われる。

例えば、兼松さんの「do」の肩書き。現在は「京都精華大学人文学部の特任講師」、その前は「編集長」、「ウェブデザイナー」となっている。doの肩書きが何度か変わっても、兼松さんの軸にあるbeの肩書き「勉強家」は変わっていない。

もしかすると、一時期話題になったDJポリスも、当人がそう思っているかは分からないが、MCというbeの肩書きを持っていたのかもしれない。

ワークのはじまり

「beの肩書き」について大まかな説明を受けた後、私たちは、3人1組(高校生2人と大学生スタッフ1人)のグループに分かれて、ワークを始めた。語り手、聞き手、メモ係の3つの役を順番に回しながら、与えられたテーマについて、語り手が聞き手とメモ係の2人に共有した。

<3つの役>

語り手:とにかく自由に話そう!
聞き手:語り手の目を見て、相槌を打ち、話しやすい雰囲気を作ろう!
メモ係:喋ってはダメ! 話のキーワードや、語り手の表情が変わった瞬間を記録しよう。

話すテーマは、事前に回答を考えておくように言われていた5つの項目の中から1つ選んだ。

1:自分では当たり前と思っていてもすごいねと言われること
2:こういう瞬間が幸せだな、もっと続けばいいのにと思うこと
3:時間を忘れるくらい熱中していること
4:感動したら思わずやってしまうこと
5:人生でこれはやっておかないとな、と思うこと

私はこの中から、2:幸せと思う瞬間について、毎日の当たり前の風景とか、家族や友達の他愛もない会話に幸せを感じるということを共有した。

それから、趣味で弾き語りをしていて、身近に自分の歌をほめてくれる人がいるだけで十分幸せであること、この幸せを何らかの形で言語化できればもっと良いだろうなということも話した。

肩書きというギフト

話した内容をもとに「beの肩書き」を共有した。兼松さん曰く、肩書きは、論理的にしっかり考える必要はないのだそう。あくまでメタファーだから、言葉遊びの一種として自由に面白がりながらやってほしいとのこと。

歌うことが好きなら「歌手」が定石ではあるが、日常や幸福を言語化したいなら「シンガーソングライター」の方がしっくりくるかな、と思った。

直感的にまだ足りない気がしたので、それに加えてなんとなく自分らしいと思う言葉を肩書きにつけた。
書き上げたのが“身内のシンガーソングライター”という「beの肩書き」だ。

そして、「beの肩書き」を書いたカードをグループの2人に手渡した。2人は肩書きの前に、私らしい長所を書いてカードをお返ししてくれた。私が2人からもらったカードに書いてあったのは、

”心に余裕のある「身内のシンガーソングライター」のような人”
”身の周りから幸せを見つけて、周りも幸せにできる「身内のシンガーソングライター」のような人”


恥ずかしさがあったが、書いてくれたことへの嬉しさが大きくなっていた。私たちのグループを含めた、周りの空気が柔らかくなっていくのが、何となく感じられた。

もっと、もっと、話したい

他人に認められている自分に自信を持つことも大事、そうじゃないと、認めてくれた人に失礼なのかなと、思った。多少義務感を感じる言葉ではあるが、優柔不断な私にとっては、これくらいが丁度いいのかもしれない、と、心が軽くなった気がした。

(おしまい)

ありがとうございます。 列島ききがきノートの取材エリアは北海道から沖縄まで。聞きたい、伝えたい、残したいコトバはたくさんあります。各地での取材にかかる交通費、宿泊費などに使わせて頂きます。そして、またその足跡をnoteで書いていければ。