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【ネタバレ】ショート・ターム 感想

グレイスを見てるともう、胸が締め付けられてもうだめだった。

始め見ている分には施設にいる子どもたちみんなの頼れるお姉さんっていう感じなんだけど、物語が進むにつれてだんだん背景が見えてくる。


彼女自身も、父に暴行され、母も色んな男を連れ込む人。絶望的。
足首の傷跡も痛々しかったし、母の男たちの似顔絵を書いてお小遣いもらってたんだよねと飄々と話す姿も悲しかった。

どうやってそんな日々を越えて、子どもたちの保護施設の職員になったのか正直想像もつかない。
でも、きっと自分なら分かってあげられる子がいるっていう強い気持ちがあったのかな。ジェイデンを助けるために、上司に抗議し、おしゃれ照明をぶっ壊し、家にバットを持って乗り込んだグレイスを見てそう思った。

でもその強い気持ちも、過酷すぎる経験からくるもので。
辛さを乗り越えたから強くなれる。誰かに寄り添える。って言葉にするとあまりにチープだけど。


一番えぐられたのは、彼氏に「産めない」「結婚できない」と伝えるシーン。
妊娠が分かって、一度は誰にも言わず堕ろす決意をしたグレイス。父に暴行されて妊娠した時のこととか、母との過酷すぎる生活とか、保護施設にいる子どもたちのこととか、色々頭を巡って母親になって子供を育てる自分が想像できなかったのかなと思う。
その抱え込んできた不安が、彼氏の結婚しよう育てようって言ってくれた幸せより大きくて悲しかっただろうな。

言葉が全然出てこなくて、やっとの思いで吐き出すようにしゃべったあのグレイス、ほんとに見ていられないくらい辛かった。


心から誰かに寄り添うって、自らの心を消費することなのかな。
むずかしい。
それが出来る人でありたいし、そうしてくれる誰かがいてくれたら幸せだよね。
飄々としている人が、逞しい人が、優しく笑う人が、強い人かなんて分からない。






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