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喜界島のサンゴ図鑑が完成

喜界島のサンゴ図鑑が完成しました。
タイトルは『喜界島 海と陸の造礁サンゴ図鑑』です。

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喜界島にはどれくらいのサンゴがいるのだろうというサンゴ研に寄せられた疑問から始まった今回のサンゴ図鑑プロジェクト。2020年に図鑑制作へ向けた調査がスタートし、クラウドファンディングで多くの方からご支援をいただきました。新型コロナウイルスの影響で調査が上手く進まず、注目をいただきながらも当初の完成予定より大幅に遅れてしまいましたが、その分素敵な図鑑が出来上がりました。

喜界島サンゴ礁科学研究所は「100年後に残す」という理念のもと研究・教育・普及を軸に活動しております。図鑑の制作にはサンゴの分類や地質が専門の研究者をはじめ、サンゴ研とそのほか喜界島に集まる学生が一緒になってサンゴの種類の把握や標本採取、写真撮影が行われました。

喜界島のある海域は亜熱帯と温帯の境界線に位置しています。地球温暖化の影響で日本各地のサンゴの種類が変わり、サンゴが北上していると言われている中で、今後喜界島のサンゴの種類も変わるかもしれません。サンゴ図鑑の制作によって喜界島の今を記録することにより、未来の研究につなげることができるとともに、指標として残すことができます。

荒波の中ですが調査に向かいました
海ではサンゴの写真を撮影し、標本を採取します

調査は潜水によって行われ、研究者が写真撮影や標本採取を行います。調査期間中はサンゴの研究者がひたすらサンゴと向き合う日々でした。

標本を作製して残すことは「本物」を残すことを意味しています。100年後には今あるサンゴがいなくなることや名前が変わる、あるいはもっと細かく分類されているかもしれません。その場合でも、図鑑を作った我々が観察したサンゴそのものを標本として残しておけば、未来の人が本物を手に取って確認することができます。標本は現在、喜界島の研究所に保管されています。

海から上がり、採取した標本用のサンゴを見る先生方
ひとつひとつ丁寧に標本を製作します

図鑑では、喜界島で見つかった150種類以上のサンゴを生時、骨格の写真とともに解説付きで掲載しております。また、喜界島はサンゴ礁が隆起して形成された島であり、陸上でも化石としてサンゴを見る事ができます。

陸上で見られる化石のサンゴ。形も残っているものが見られます。

本図鑑では、喜界島の陸上で観察できる化石のサンゴも属ごとに写真とともに解説しております。そのほか、隆起サンゴ礁の島である喜界島の成り立ちや、古くからサンゴを資源として活用してきた島民のサンゴ礁文化を紹介するページ、サンゴの形状や生態に関する解説など、喜界島のサンゴの魅力が一冊につまった図鑑となっております。

【書誌情報】
書名:喜界島 海と陸の造礁サンゴ図鑑
編者:深見裕伸、佐々木圭一、磯村尚子、北野裕子、藤井琢磨
著者:磯村尚子、椛島賢斗、北野裕子、駒越太郎、佐々木圭一、津田和忠、永田真由、野村恵一、深見裕伸、藤井琢磨、宮林弘美、山崎敦子、渡邊剛(五十音順)
定価:5,000円 (本体4,545円+税)
貢数:205P、B5版
発行所:特定非営利活動法人 喜界島サンゴ礁科学研究所
印刷所:株式会社 朝日印刷

【編者紹介】
〇深見 裕伸 (ふかみ ひろのぶ)
宮崎大学農学部海洋生物環境学科 教授。東京水産大学大学院水産額研究科博士課程修了、博士(水産)。専門はイシサンゴの生態、分類、系統および進化。主な著書に「サンゴの白化」(分担執筆/成山堂書店)、「新・付着生物研究法」(分担執筆/恒星社厚生閣)など。
 
〇佐々木 圭一 (ささき けいいち)
金沢学院大学経済情報学部経済情報学科 教授。金沢大学大学院自然科学研究科地球環境科学専攻博士課程単位取得後退学、博士(理学)。専門はサンゴ礁地域の地形、地質、放射年代学。主な著書に「デジタルブック最新第四紀学」(分担執筆/日本第四紀学会)など。
 
〇磯村 尚子 (いそむら なおこ)
沖縄工業高等専門学校生物資源工学科 准教授。東北大学大学院理学研究科博士課程後期修了、博士(理学)。専門はイシサンゴおよび海産無脊椎生物の繁殖生態、進化、分子生態。主な著書に「美ら島の自然史―サンゴ礁島嶼系の生物多様性」(分担執筆/東海大学出版会)、「やわらかい南の学と思想―琉球大学の知への誘い」(分担執筆/沖縄タイムス出版部)など。
 
〇北野 裕子 (きたの ゆうこ)
一般財団法人自然環境研究センター 研究員。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了、博士(理学)。学位取得後、宮崎大学、琉球大学、および国立環境研究所で博士研究員として勤務したのち現職。専門はイシサンゴの形態分類、分子系統、集団遺伝。
 
〇藤井 琢磨 (ふじい たくま)
公益財団法人鹿児島市水族館公社 技術職員。琉球大学理工学研究科博士後期課程修了、博士(理学)。専門は六放サンゴ類の分類、系統、生物地理。主な著書に「大浦湾のいきものたち―琉球弧・生物多様性の重要地点、沖縄島大浦湾」「奄美群島の水生生物―山から海へ 生き物たちの繋がり―」(主に分担執筆・編集/南方新社)など

図鑑制作において、応援やご注目いただいた皆さま、本当にありがとうございました!ぜひこのサンゴ図鑑のページをめくっていただきながら、私たちの想いとともにこの図鑑が未来へ残ることを願っています。

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