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連載「菌活ボーイがゆく」③

こうじの魅力にはまった猫サラリーミャンの菌活実践記です。
「育て上げた醤油こうじを食べてしまうのが心苦しくて」の心境で菌との触れ合いの日々を送る。
さっちー師匠ににゃんだかんだ巻き込まれながら菌活ステップアップに邁進中。

文/菌活ボーイ
イラスト/ちぐ

③秘技「コーディネート」


旺盛な発酵で、こうじ世界が生み出した炭酸ガス。

「シャンパンがつくれるかも」

ボトルをグラスのようにくるくる…と、のんきに回している場合ではなかった。

いまや中身は凶暴な独裁国家「菌王朝」になっていた。

連日、我が物顔でキャップ弾を発射。

僕は床にはいつくばり、捜索を続ける暮らしを強いられていた。

「ボトルにこうじを入れすぎにゃんだよ」

さっちー師匠はあきれ顔。

でも、今さらどうにも止まらない。

とにかく。ガス抜きできれば、元の穏やかな国に戻ってくれるはず。

そう信じて、キャップをかぶせるだけにした日もあった。

いっそフタ本体をゆるめてみたら、と試した日もあった。

それでも、キャップ弾は発射され、フタの隙間から醬油こうじが垂れ落ちた。

台所は空前の危機だった。

絶望しかけた僕の前で、純白の光が瞬いた。

そよ風に揺れるティッシュだった。

キャップはかぶせるだけで菌の呼吸をラクにして、

上からティッシュで軽く覆って、首の部分を輪ゴムでとめてみたら…。

おしゃれマントでボトルが変身。

「こ~でね~と!」

師匠!

キジトラ流菌道の名誉は守られました。

喜びはつかの間。

まさか、さらなる惨事の引き金になるなんて。

翌朝の光景は、今でもありありと思い出せる。

(続く)



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