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自然と繋がり、良いものを受け継ぐ、フィンランドのサステナビリティ

国連の研究機関が発表したSustainable Development Report 2023※で1位に位置したフィンランドをサステナビリティの視点からレポートしたいと思います。
※持続可能な開発目標の達成に関して各国の立場を評価する世界的な調査



良いものを世代を超えて受け継ぐことで、自然とサーキュラーエコノミーの輪ができている

フィンランドだけではなく、ヨーロッパ諸国に多いカルチャーかもしれませんが、家具・食器、家、洋服など生活に関わる様々なものに対して、質の良いものを何世代にも渡って受け継ぐ、古いもの=様々な人に愛されてきた商品なので信頼できるという感覚があるように感じます。
日本では比較的新築の物件が人気ですが、古いもの=信頼の感覚のあるヨーロッパでは新築の家より中古の家の方が価格が高かったりします。

フィンランドを代表するファブリックブランド、MarimekkoもPre-lovedマーケット=ビンテージ、中古品のマーケット展開しており、マリメッコ本社のマーケットやオンラインでも購入することができます。

マリメッコ本社のPre-lovedマーケット
オンラインでも中古品やビンテージを購入できる


日本でも古着屋やブランドのアウトレットはありますが、中古品マーケットをブランド自身が展開し、ブランディングやコミュニティ作りに繋げているのが面白いなと感じました。日本のファッション業界もサステナビリティへの取り組みは増えているものの、まだブランド側としては「新しい服を買ってほしい」、ユーザー側としても「トレンドを追い新品を買いたい」というマインドが強い印象があります。

今回は行けませんでしたが、サーキュラーエコノミーの視点でいうと「Nolla」というレストランも世界的に有名です。レストランで出す生ごみを堆肥化しているだけではなく、従業員の服、ナプキン、ギフトカードまで再利用可能な素材のものを選択しており、地産地消含めたサステナビリティの視点で多くのユーザーに支持されています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ヘルシンキのごみゼロレストラン「NOLLA」の、絶対食材を無駄にしない工夫

再生可能エネルギーを利用したスクーターのシェアリングサービス

今回はヘルシンキ、オウルを訪問しましたが、どちらの街でも電動スクーターを利用する人たちがたくさんいました。アプリを入れれば旅行者含め誰でも利用可能で、利用料金は利用時間に応じて支払い、エリア内ならどこでも乗り捨て可能です。


サービスを提供している企業も多く、街にはサービス毎に様々なカラーのスクーターが並んでいました。サービスによるかもしれませんが、例えば「dott(ドット)」というスクーターサービスは、再生可能エネルギーを利用しており、同社は2019年にカーボンニュートラルも達成しています。
フィンランドではサイクリングする人も多いですが、市内のちょっとした移動にはスクーターが利便性とサステナビリティの視点から人気のようでした。

自然とつながり人も生き物の一員と感じる感覚

ヘルシンキはフィンランドの首都ですが、公園や街路樹、海などとても自然が多い街です。都市部でも自然を感じることができますが、そこから30-40分程のところには大きな森もあり、多くのフィンランド人は夏はブルーベリー摘み、秋はキノコ狩りを楽しんだり、カヌーや湖で泳いだりして自然の中で週末を過ごします。

公園の多いヘルシンキ都市部

フィンランドには自然享受権という国有地や私有地に関わらず、一定の規則に従って自然環境を自由に探索・採取・釣り・短期滞在する権利を保障した法律があり、自然の中で過ごしたりアクティビティをする権利が全ての人に保障されています。
自然享受権については詳しくはこちらをご覧ください。
【自然享受権】北欧で保証された自然を満喫できる権利

サウナから湖や海に飛び込むのもフィンランドの定番


ちなみに個人的にも田舎暮らしで自然に近い生活をしていると、自分自身が自然と繋がり、生き物の一員だと思うこの感覚が実はサステナビリティには1番大切な感覚な気がしています。

旅行者も自然享受権が保障されている


スーパーで食品を買うだけだとその有難みが分かりずらかったり、エアコン含めて気候や自然をコントロールしようとする側面が人にはあると思っています。もちろん私自身もその恩恵に預かることはあるのですが、自然からダイレクトに恵みをもらっていると、例えば「この森が汚れたり、果物を採りすぎたら、この恵みをもらえなくなるんだな」のように、自然と共に生きることに対する責任もダイレクトに感じることができます。
サプライチェーンの長さの中で分かりにくくなっている、自然から恩恵を受けているという感覚を、自然の近くにいると取り戻す感覚がフィンランドでもありました。

今回はフィンランドをサステナビリティの視点でレポーティングしました!
最後までご覧いただきありがとうございます。


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