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「はて?」の引っ掛かり

NHK連続テレビ小説『虎に翼』の主人公:寅子(伊藤沙莉)と言えば、「はて!?」ですね。
私も、毎回、彼女の「はて!?」を楽しみにしながら視聴しています。あと1ヶ月で終わってしまうのが、残念でなりません。

はて、いや、さて、
私たちも、寅子のように声に出しはしないまでも、「はて!?」と立ち止まってしまうことがありますね。その場に生じているものへの「引っ掛かり」。「引っ掛かりを感じる」とは、「原因や理由は今のところ定かではないが、何かがおかしいと感じる。すっきりしない。」という心の動き。これが、「はて!?」です。

この記事での私からのメッセージは、
この「引っ掛かり」の「爪(つめ)」を持つことの大切さです。

学校経営においては、さまざまな課題やピンチが校内に目に見えてある場合には、「本当にこれでいいのか」と思考しながら、的確に、また、迅速に、組織として対応していくことで、それを乗り越えようとします。そのような状況での先生方の意識には、とても高いものがあります。実は、学校に本当のピンチが訪れるのは、「自分の担当するクラスや授業、校務分掌には、今のところなんの問題もありませんよ、校長先生。」と大勢の先生方が言うような時かもしれません。校長から言えば、そんな時が最も危険な状態にある時とも言えます。なぜなら、学校経営が表面的な「安定」を見せるようになると、一人ひとりの先生の「引っ掛かり」のセンサーの感度が、油断や慢心、「問題がない」とする思い込みによって下がり、ものを見る目を鈍らせていくからです。

このことは、
子らの学習においても同じです。
子らの「先生、わかりました!」は、それはそれで指導者としてはうれしいことですが、子らの中に「はて!?」の「引っ掛かり」は、その学習の中で本当に生まれていないのでしょうか?生まれもしないような学習に終わってしまってはいないでしょうか?授業者は、子らの「学び」に本当のピンチが訪れていることに気づくべきです。子らの学習が深まる時というのは、この子らの「引っ掛かり」を指導者が教室の学習課題としてきちんとすくい上げ、それに向き合えた時なのです。

「引っ掛かり」の根っこにあるものは、よりよいものに改善できるように、より高次のものにできるようにと、その可能性を求めようとする意識です。違った言い方をすれば、それは、向上心であり、現状にあぐらをかかない姿勢と言えます。それが、その人なりの「引っ掛かり」を生みます。
先生方の学校経営にも、子らの学習にも、なくてはならないものです。

寅子が持つ虎のような「引っ掛かり」の「爪」。
確かな「引っ掛かり」の「爪」を持ちながら生きることのできる人は、「本当にこれでいいのか」を成長につなげていける人です。
相手を傷つけてしまうような「爪」であってはなりませんが、
私たちも、子らも、
その「爪」を常に研(と)ぎながら、ものごとと向き合えるようでありたい
と思います。

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