本当に信じている状態って、信じてるっていう自覚すらないのだろう。
私は好きな人のことがとても好きなのだが、何も考えていない。
別の女の子と仲良くしてる、嫌だな。とか、
浮気しないかな。とか
私のこと嫌いになったかな。とか。などなど。
そんな風に考えることはないし、だからといって彼のことを信じてる。とも思っていない。
なぜそれに気づいたのかというと、
私と彼が出会ったバイト先には彼以外若い男の人がいない。歳の近い人は皆女の人だ。
今までの恋愛と同じだったら、他の子に目移りしたらどうしよう、とか、彼と別の子が仲良く話しているのを見てすごくモヤモヤしたりしたのだろう。
だけど彼に関してはそういう感情にならないのだ。
彼はバイトが楽しいらしく、一緒にいる時も必ず毎回楽しそうにバイトの話をする。お客さんの話だったり、シフトが被った人とした会話の話だったり、その人がどういう人かであったり。
いつもすごく楽しそうに私に話してくれるのだ。
私はその彼の姿を見るだけで嬉しいのである。
女の人に慣れていないのに女の人ばかりの職場で働くってすごく難しいことだと思うし、最初は大変そうだった。
そんな彼が楽しそうに働いている。
バイトの先輩としても、好きな人としても嬉しい以外に思わないのだ。
嫉妬深かった以前の私からの変化にも驚いているし、いつも私を満たしてくれる彼にも感謝している。
数年前、とあるテレビ番組を見た。
その番組の企画が、カップルの彼氏彼女に嘘発見器を使わせて、お互いに質問をし合ってその答えに嘘がないか試すものだった。
何組かのカップルが登場して、そのほとんどが浮気をしていないか、とか、他の異性と出かけたりしてないか、とか、自分のことが好きか、とか、そんな内容の質問だった。
そしてその機械によって答えたことが嘘ということになり修羅場状態になったカップルもいくつかあった。
しかし最後に試したカップルが、どのカップルとも違っていた。
そのカップルは彼女が彼氏に質問をして彼氏が答える、という形だったが、その彼女側の質問が、細かくは覚えていないが、確かペットのために高いおもちゃを買ったかどうか、だった気がする。彼女がペットにとてもお金をかけてしまう彼氏に困り果てた顔をしていたのを覚えている。
ふたり(彼女)にとってはとても重要な問題なのだとは思うが、テレビを見ている他人側からしたら、今までの浮気だの何だのの後に来るととてもバカらしくどうでもいいようなことに思える。
他のカップルは「信じてる」と言いながら相手を嘘発見器にかけさせて疑っていたが、そのカップルはお互いを異性関係などで疑うということが本当に頭にもないのだなと思った。
これが本当に信頼し合っていることなのか、と、多分すごく衝撃的だったから私は今でも覚えているのだろう。
「相手のことを信じている」っていうのは、そう思った時点で少しの疑惑の感情があって、それを取り払うために半ば強がりも含めてそう思うようにするのだろう。
「信じてる」の究極って、相手に何の不安もなく何も考えないで彼のことを想っていられることなんだろうなと思った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?