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【おすすめマンガ紹介】様子がおかしい経済ぶっこわ漫画『ハイパーインフレーション』

ハイパーインフレーションとは、
ジャンプ+で2023年3月まで連載していた少年漫画です。
全58話ですが、どう考えても58話じゃ収まらないはずの内容が詰め込まれてる漫画です。
(アニメ化したら1話で漫画の1巻分使っちゃうような漫画がたまにありますが、
 この漫画はアニメ化したら原作の1話をやるためにアニメでは2~3話いるのでは?
 と思う話が結構あります)

■どんな話?

帝国の奴隷狩りに両親を殺され、
唯一残った姉と一緒に奴隷として捕まってしまったガブール人の少年、
ルークが、神様に貰った不思議な力を使い、先に帝国に連れていかれてしまった姉を助け出そうとする話です。

ルークが土壇場で神様から貰った力は、
自分の体から一万ベルク札(帝国で使われている紙幣、ドルのような基軸通貨っぽい)を際限なく出す能力でした。
力でいくらでもお札を出せることが分かったルークは、これで奴隷にされてしまった姉を買い戻すことはもちろん、
帝国の土地を買い取って、ガブール人たちだけの国を作れるじゃないかと歓喜します。

しかし、これはなろう小説ではありません。
そこまで簡単に話が進むわけがありませんでした。
浮かれかけていたルークですが、自分が出した札を見てあることに気付きます。
なんと自分が力で出した一万ベルク札は、全て通し番号が同じ。
つまり、神がかった精巧さを持つ偽札だったのです。

自分の力が「精巧な偽札」を出す力だと理解したルークは、
同時に「偽札」でも、それに気づかれなければ「本物」と同じことが出来ると気付きます。
そして同時に、「偽札」であるからこそできることもあると気付きます。

大量の偽札を帝国に流して、それを公開すれば帝国の経済はパニックに陥るはずだと思ったルークは。
それを武器に帝国を脅して姉と、奴隷狩りにあっているガブール人を救おうとする
……と言う話です。

ルークの持つ能力が話の軸になっていますが、能力モノの漫画ではないと思ってます。
作中でルーク以外に不思議な力を持つキャラは現れず、(過去にはいたという話は出てきますが…)
”敵”の位置にいるグレシャムやレジャット等はあくまで普通の人間です。
また、ルークも「偽札を体から出す」という能力があるだけで、ここから出来ることが増えたりはせず、
この力を使ってどう立ち回るかと言うことを考えていく頭脳戦が話のメインになります。

この「偽札を無限に出せる」という一つの設定だけでよくもまぁ、ここまでの話を考えて、綺麗にまとめたなと。
連載をリアルタイムで追いながら何度も思いました。

■濃すぎる、そしてシュールすぎる「名(迷)言」製造装置達

……と、上で書いたようにルークの持つ「偽札を出す」能力を主軸にした、手に汗握る頭脳戦がこの漫画の見どころの一つであることは間違いなのですが、
それだけではこの漫画の魅力は半分ぐらいしか伝わりません。

この作者。
シリアスな展開の中に絶妙なタイミングでギャグを入れる天才です。
それも中で言われた名(迷)言がどれもこれもキレまくった発言が飛び交っているので、
連載中は毎回Twitterで拡散されまくっていました。

 「殺すな~!人の命の価値がわからんのか馬鹿者!60万ベルクだ!!
  吹き飛ばしていいのは片手まで!」

 「世界経済 壊れちゃう」
 
 「不味い。このままでは味方がまとも過ぎて国が滅ぶ!!」

辺りが有名ですが、
とりあえず名(迷)言については、下記のラインスタンプ(公式)を見て貰うのが一番手っ取り早いかと思います。

これだけあってもアレは入ってないの??
と思うのが両手で数えきれないぐらいあるので、
どうか全貌は全話読んで確かめて欲しいです。
きっとあなたのツボに入る名(迷)言があるはず(笑)

尚、こんな名(迷)言を吐きまくる漫画のキャラたちが没個性の訳がありません。
主人公に対する愛がいき過ぎている切れ者諜報員。
裏切ることが作戦に組み込まれるほど裏切りに定評がある金の亡者。
戦闘力最強の巨大な全裸(初期)女性、中身は乙女。
など、一度読んだら忘れられないキャラが揃っていて、見どころの一つになっています。

唯一人に勧めにくいのが、作者の性癖が120%作品に込められてるところですね。。
主にルークが力を使う時の描写とか表情なんですが。。いろんな意味でエロいです。
部屋に置いてたハイパーインフレーションを親に勝手に見られた日には、
気まずい空気に押しつぶされることが間違いないので背後に気を付けて読んで欲しいと思います。

ここが大丈夫ならあとは美味しい所しかないので、ぜひ最後まで読んで欲しいと思います!

■構成のスピード感がやばすぎる。

ハイパーインフレーションでもう一特徴的なのは、話の圧倒的なスピード感です。
信じられないようなテンポで話が進んで飽きさせないというか、
通常なら2~3話でやるような話を平気で1話で詰め込んできたりします。
(その割に分かりにくくない)

例えば……。
①敵側が潜伏している主人公達の居場所を突き止めるために罠を仕掛ける。
 ※ 主人公達に有利なわざと新聞に掲載するが、それを各地方のごとに別々のものにし、 どの情報が反映されているかで、主人公の居場所を割り出そうとしていた。
   ↓
②そうされることは初めから気付いていた主人公。人を雇って帝国中の新聞を集めようとする。
   ↓
③実は自分達の意図に主人公達が気付くだろうことは織り込み済みだった敵側。
  新聞を買いに来る人間を尾行して主人公の場所まで案内させようとする。
   ↓
④尾行もされるだろうことは主人公側も予想済み。
  絶対バレないように自分達に繋がる人間からさらに別の人間に依頼させ、
  普通に新聞を買いに来た客と自分達の協力者の見分けをつかないようした。
 (新聞を買いに来る人間全員を尾行することは出来ないので)
   ↓
⑤敵側、誰が主人公側の協力者か絞るために、偽の新聞を用意。
 いつも買っている地元民なら絶対買わないだろう、その偽新聞を買った人間が主人公の協力者だと突き止める。
   ↓
 敵側、主人公達に繋がる人間を特定

という展開が1話の中に詰め込まれてました。
どんでん返しが3回ぐらい?
こんな感じで、このやり取りだけで2~3話は書けるだろ……。もったねぇ……。
というような展開がよくありました。

その分スピード感はすさまじく、1話で2~3話分ぐらいの満足感があると思います!


■まとめ

基本的には頭脳戦漫画が好きな人におすすめですが、
登場人物が皆濃くて、セリフがキレまくってるので、ギャグマンガだと思っても楽しめると思います。

絵柄と主人公のエロ部分が苦手じゃなければ
無茶苦茶楽しめると思うので、ぜひ!(=゚ω゚)ノ

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