【おすすめマンガ紹介】異世界おじさん　～　セガをこよなく愛すおじさんの異色の異世界転移マンガ　～

異世界おじさん　１ (MFC)

異世界に転移した主人公がチート能力を神から授かり、その能力を使って異世界で無双。
異世界で出会った３人のヒロインから思いを寄せられるのに本人は全く気付かない……と、書くと典型的な異世界俺TUEEEEE！漫画としか思えない説明になってしまうのですが。

ここまで書いたものが何一つ間違ってないのに、
異世界俺TUEEEE！漫画のテンプレから外れまくっている本作、「異世界おじさん」を今日は紹介したいと思います。

◆どんなはなし

17歳の時にトラックにひかれ昏睡状態になっていた叔父が目を覚ましたところからこの話は始まります。
甥のたかふみが親族全員から押し付けられるような形で入院している叔父、ーーおじさんを尋ねると、
おじさんは「自分は昏睡状態の間、異世界に行っており17年かかってやっと帰って来た。異世界に行っていた証拠として魔法を見せてやろう！」
と言ってきかない状態でした。

トラックに引かれて頭がおかしくなったと思ったかと思いきや、なんとおじさんは本当にたかふみの目の前で魔法を使って見せます。

これを見世物にすれば金になる。
そう瞬時に判断したたかふみは、おじさんと二人でユーチューバーをしながら、二人で暮らすことにします。
そして、古いアパートで二人暮らしを始めたたかふみは、おじさんが異世界でした冒険についても聞くことになったのでした。

◆テンプレ異世界ものとの違い

異世界転移、チート能力、ヒロインハーレム（？）。と、
要素だけ見るとよくある異世界ものなのですが、
異世界おじさんは他の異世界ものと話の作り方が大きく違っています。

具体的には、
話がおじさんが異世界から帰ってきたところから始まること
と、
現代日本の生活と異世界の出来事を交互に進行していくこと
です。

基本的に主人公が異世界に迷い込んだところから始まることが多い異世界ものですが、『異世界おじさん』はおじさんが異世界に行って、現代日本に戻ってきたところから始まります。

おじさんの異世界での冒険は既に『終わった出来事』として、
おじさんが甥のたかふみに乞われて過去の思い出を話すという形で語られます。
この”語る”も、ただおじさんが口頭で語るのではなく、日本に戻って来ても使えた魔法でおじさんの記憶を空中に浮かんだモニターのようなものに投影してたかふみに見せているという方法になっています。
この見せ方も独特で面白いのですが、「既に終わった過去を語る」と言う形式になっている一番いい所は、話が面白い所だけピックアップして話せるところだと思います。
たまに、現実パートで起きたことに関連して「そういえば異世界でも〇〇なんてものがあったぞ」と異世界の話を語りだすという方法にも使えます。

そして、この形式になっていることである悲劇も発生しているのですが。。。

おじさんは異世界でエルフさんと呼ばれているあるヒロインといい感じ（おじさん無自覚）になっているはずなのですが……。
過去のおじさんとエルフさんが絆を深めていく良い話が出てくれば出てくるほど、「でも、このおじさん。最終的に全てほっぽりだして日本に戻って来るんだよな……」と頭を抱えるという状況になっています。

と言うか、既にエルフさんがおじさんを逃がしてくれるような気がみじんもしないんですが。。どうやって一人で日本に戻って来たんですかね？
このおじさん。。

もう一つの見どころの現代日本の生活と異世界の出来事を交互に進行していくことなんですが、
この現代日本パートもかなり面白いです。
異世界のおまけとか、異世界に入るための導入としてではなく現代パートは現代パートで楽しめるような作りになっています。

おじさんは17年間異世界に行っている間、現実世界では昏睡状態になっていたため、記憶や常識が17年前で止まっています。
唐突に遭遇する17年のギャップネタにおじさんが驚くというネタが、「あー、そうそう。そういえば昔はそうだった」という方向で結構面白いです。（おじさんと同年代以上の人にしかわからない面白さかもしれないですが・・・）
例として、「笑っていいとも！」が終わっていることに驚くおじさんとか、４ＤＸの映画館に驚くおじさんとか。多分2000年前後をはっきり覚えている年代の人にはくすりとするネタが沢山詰め込まれていると思います。

そしておじさんを語るうえで避けては通れないのがＳＥＧＡネタです。
おじさんは生粋のSEGAファンで、SEGAのことになるとかなりコアなネタを永遠と語りだすという癖（？）があります。
自分はSEGAハード売ってた時代に生きてたはずなんですが、知らないよ。。。そんなコアなネタ。。。となってしまうネタが沢山出てきます。
SEGAネタはおじさんと周り（読者も含めた）との温度感を楽しむパートだと思うのでSEGAネタを知らなくても全然大丈夫です。
多分むしろ知らない方が面白く読める気がします。

おじさんのSEGA愛語りと、愛ゆえにおじさんが何かを踏み外してしまったように見えるのもこの漫画の魅力の一つだと思います。

あと、SEGAネタが出るとおじさんが毎回、毎回すごく幸せそうなのでもっと喋らせてあげて欲しいです。。

異世界に転移して、チート能力を貰って、ヒロインにモテモテになっているにもかかわらず、全く通常の異世界もののお約束に当てはまらない漫画「異世界おじさん」

最終的におじさんがどうエルフさんを振り切るのか気になる人は是非読んでみてください！