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SNS少女たちの10日間、ホラーばりのドキュメンタリー映画だった。(CAUGHT IN THE NET)

予告を映画館で見た時から気になっていたこのドキュメンタリー。公開すぐに緊急事態宣言という切なさ。滑り込みでヒューマントラスト渋谷に観に行きました。そこそこ人がいて注目度が伺える。

映画はチェコ原産。本国では異例の大ヒットになったそうな。監督はこれまでも同性婚の合法化やチェコの住宅危機、男女平等など現代の抱える問題をドキュメンタリーとして撮ってきたビート・クルサークとバーラ・ハルポヴァーが共同でやっている。今回は若年層それも小学生や中学生レベルの10代がSNSで性的搾取や脅迫を受ける問題に迫った作品になっている。

私が携帯を持ち始めたのは高校生でまだSNSなどは無かった。それでもやっぱり両親の知らない人と連絡先を交換したし、その中に私を性的対象として見る男性も含まれていた。16歳でも危うかったけど、それが12歳となるともう少6やん・・・という。本当に危険になった時に自分の判断で対応できたり通報できる年齢かと言うとそこはとても危うい。ツイッターの記事で旭川の14歳の少女がイジメの一端として自分の性的な画像をSNSでばら撒かれた事によって(それも一因)自殺したのではという記事がこの映画と共に載っていた。幼い子供がいる親は今、まる必でこのドキュメンタリーを見るべき。いや、小学校や中学校の授業で流しても良いくらいだと私は思った。(確かR-15だけどそれもどうなんだ日本・・・)

SNSを始めるきっかけの大体は10代の好奇心だ。知らない世界を見たい。自分の価値を試したい。異性に興味を持たれたい、それが「いいね」欲しいにつながっていく。このドキュメンタリーの中でも監督が話していたが「性的目的で連絡を取ってくる大人から子供達をサービス提供者が守らない。それは、そういう抑制をシステム的に行うと利用者が減って広告収入も減り自分達に損益が出てしまうからだ」と。もはや映画の半ばで確信をついている。TwitterやInstagram、FaceBookはこれを見たらどう捉えるだろうか。自分で判断してDMが来ないようにしている大人はいる。アカウントに鍵をかけることも可能、だけどSNSを始めたばかりの小学生にそれが出来るだろうか。危険なことも危険と思わない世代だ。

ドキュメンタリー前半12歳に扮した18歳以上の女優達が偽名でアカウントを作ると作っただけで16件ものメッセージが届くから驚愕だ。この偽名でSNSをやっていくのにルールもあり「自分から挑発や誘惑はしない」「自分からメッセージを送らない」としているのにそれでも性的搾取をしようという気持ち悪い男達からどんどこ連絡が届く。10日間の実験で3人にコンタクトを撮ってきたのは2458人。単純計算で80人/1日だ。マジかよ、、だけどこれが現実なのだ。

電話やチャットでいきなりチ○コを送ってくるのはザラだし、喋りながらマスターベーションもざら、中には獣姦の動画を送ってきたり、頭からお金で売春の交渉してくる奴もいた。おいおい、普通のSNSをテレクラ(古いか)と勘違いしてるのか・・・?という12歳の少女と知っていてもお構いなしに自分の性欲のはけ口に使ってこようとしてくる。親だったら相手を全員絞め殺したいって思うかもしれない。私は今妊娠していて男の子だけど、これって少女だけに限らない、そう思うとこういう大人達にマジで吐き気がしてくる。せめてポルノサイトとかで処理しろよって思う。

ただ、そうは言ってもこの汚いオオカミ達(オオカミにごめん)にも腹のうちがある。こういった「あえて」12歳という若年層にコンタクトを取り性的な要求や脅迫をしてくる彼らは、大人の女性には歯が立たないと分かっている。12歳の自分より口も達者ではなく物を知らない子供を自分の思うように操り、性的搾取をしようとしているのだ。あぁもう書いているだけで気持ち悪い。登場するキモ男達にボカシをかけているのだが、そのボカシのかけ方が絶妙に気持ち悪さを増幅させてくる。唯一、コンタクトを取ってきたけど、性的な要求をせず「裸はプライベートなものだから愛する人の前でしか見せない方がいいよ」とごくごく普通のことを言った男のボカシが取れて顔が見えた時は超イケメンに見える。(普通にイケメンだったけど)と、男性全てがそんな人じゃないよ的な救いもあるけど、まぁSNSで少女を捕まえに来る一般男性の多いこと。対面でなければ何をやっても良いと思っているのかもしれないけど、立派な犯罪として成立する。ただし、証拠があり、通報ができれば、だ。(なかには自分とのやり取りを消去しておくように指示してくる男もいる)

本当に恐ろしい時代になったな・・・と正直に思った。生まれた瞬間からデバイスやSNSがある世界に生まれてくるなんて・・・。先日「スマホ脳」を読んだばかりだけど、ここ10年ちょっと(Twitterが出来て15年、Instaが11年、FBが17年)で急速に普及して全国民全世界スマホ時代だけど、法律も使用ルールも論文も全然追いついていない、追いついたとしても更にそれを上回るスピードでサービスの方が先を行ってしまう。警鐘を鳴らす前に金儲けに走るのが人間の本性なのか資本主義なのか。子供に「目が悪くなるからファミコン止めなさい」なんて言っていた昭和の時代なんて可愛いもんで、今の時代、親も注意していても子供達がネットの中で犯罪に巻き込まれたり、自殺に追い込まれてしまうかもしれない時代なのだ、もはやこういうドキュメンタリーを一緒に見て「考えを話す」ていう作業をしないと怒ったとて止めたとて、スマホを渡してしまったらもう野に我が子を放つようなものである、と心に戒めた方がいいかもしれない。

1時間半のキュメンタリーだったけど、ぐったりして疲れた。音楽もチェコだからなのか結構攻めていて怖さ倍増させてくれた。SNSマジで怖いですよ、親御さん達。


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