なぜ芸能人は一生懸命なのか。
テレビを見ていて感じるのは、芸能人はなぜあんなにも一生懸命なんだろう、ということで、見ていてどうも不思議な気持ちになる。
我が家の朝は日テレのzip!なのだが、特定のスポーツにちなんだアクティビティをおこなうコーナーがある。
バスケW杯のときには曜日対抗のフリースロー、ラグビーW杯の時期も同じような競技。イメージがつきづらい方のために言えば、笑っていいともの曜日対抗のあのコーナーを思い浮かべてもらうといい。
アクティビティのコーナーでは、お笑い芸人やアイドルが「よーし! いきますよ〜!」みたいなことを言って、競技に挑む。周りのアナウンサーたちも一生懸命に笑顔で応援。声をふり絞っている様子が全国に放送される。
最近は夜のバラエティ番組では大食い系のものや衝撃映像系のコンテンツが目立つ。
あれもたいてい右上にはワイプ画面があって、映像を見ている芸能人たちがいちいちリアクションをとっている。時に笑顔、時に真面目、とにかくがんばっている。
芸能人は顔がテレビで全国放送されるので、普通の生活が送れなくなるというリスクも背負っているけれど、そのリスクを天秤にかけても「有名になる」というメリットの方がはるかに大きいからテレビに出続ける、というわけだ。
私は札幌に住んでいるから、テレビではローカル番組が放送される。夕方のワイドショーは北海道のテレビ局が制作しているのだ。ローカル有名人、ローカルアナウンサーのるつぼである。
東京へのコンプレックスみたいなものを抱える人間としては、地方局制作のテレビ番組をみると、なんとも言えない恥ずかしさみたいなものを感じる。
全国に流れているわけではないが、この北海道という地域で有名になろうと、まるで全国区の芸能人がやるようなリアクションを演じているのだ。
うーん、と思って再度また全国放送の番組を見ると、地方局の人も全国放送の人も、リアクションの種類としては同類のものだと気づく。笑い、驚き、共感し、なにかコメントを発する。
そうか、テレビというのはリアクションの種類はどの地方も同じで、問題はそのリアクションを「誰が」しているのか、というのが重要なのだ、とどこかで気づいた。
ローカルアナウンサーが笑顔で驚くのもいいが、同じリアクションを日テレの水卜アナがやると、なんだか自然に受け入れられる。この人は全国区だから、この人のリアクションが全国標準だよね、となるから不思議とイタさみたいなものは感じない。
イタさを感じない、と書いたけれど、冒頭に書いたとおり、芸能人が一生懸命に番組の企画に乗っかっていたり、ワイプでリアクションをしている様子を見ると、やっぱり不思議な気持ちになる。
どうしてこんなに意味のないリアクションができるんだろう、全国にさらされるのに、と思うわけだ。
で、この不思議さを妻に聞いてみた。
このように妻に聞くと、コンマ1秒で返ってきた回答は以下のセリフだった。
あぁ、そうか。たしかに。
それが仕事だからこそ、
あんなにがんばっているのか。
…
ふと我が身をふりかえる。芸能人が身体を張って視聴者を楽しませようとするようなプロ意識で、私は仕事にのぞんでいるだろうか。
少し冷めた目で小馬鹿にしてる場合じゃないな、と思える、そんな妻の回答であった。
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