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岩を置く。
文章を書くにはまず何から始めるべきだろう、というありきたりな話をワガハイなりにしてみたい。
そもそも、ある文章を書くには「主題」がなければならない(というか言いたいことはこれでおわり)。主張したいテーマを思い浮かべ、タイトルを決め、それが決まったら何かを書き始める。
私の場合はそう。だれでもそう。主題、できごと、エピソードを思い浮かべて、次にタイトルを決める。これが決まれば文章なんて9割は完成したようなもんで、あとはノリと勢いにまかせて書く。風のように。
大事なのは「主題」を決めることだ。
そんなことは誰もがわかっていることだが、みなさんにもう少し理解を深めていただくため私は、みんな大好き天下の「無印良品」のコラムを引用したい。
無印良品の「くらしの良品研究所」にて2010年に書かれたコラム「森と私たちの暮らし」のページから「森をつくるには」の項を引用しよう。
このコラムを読むにあたっては「森」=「文章」、「岩」=「主題」と置き換えるとわかりやすくなるはずだ。ほな、ちょっといってみまひょか。
森をつくるには(くらしの良品研究所)
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草も花も何もないところに森をつくるには、どうしたらいいでしょう?
まず、大きな岩を置くのだそうです。
大きな岩を置くと、熱くなった岩が夜の空気に冷やされて水滴が発生します。また日中も岩の陰で暑い日差しから身を守ることができます。
そこに微生物が生まれ、そのうちに植物が芽を出します。虫もやってきます。小さな気候の変化をつくり出すことで、生物が生まれてくるのです。
こうして徐々に時間をかけて、草が芽生え草原をつくっていくのです。草原ができると、草木のあるところとないところとでは温度差が生まれてきます。その温度差が風をつくります。
草原が広がり、その動きは何百年もかかって、遠くの海と陸とをまたぐ大きな風の動きに。その中で、海の水が蒸発して雲となり、山にぶつかり雨を降らします。水は木を育て、やがて森になります。そして森は水の貯水池となり、川をつくり出します。
森の成り立ちを支えているのは、生態系の絶妙なバランスです。長い時間はかかりますが、「岩を置く」ことで生まれる小さな気候の変化をきっかけに、自然の力を上手に活用することで、森さえもつくっていくことが可能なのです。
引用 : 無印良品 くらしの良品研究所「森と私たちのくらし」
っひゅー、いいねぇ。
解釈して繰り返してみよう。
なにもない場所に森をつくるためには「小さな気候の変化」をつくらなければならない。そのきっかけになるのが「大きな岩」を置くことである。
岩の下には日陰ができる。温度差で水滴ができる。微生物が湧き、植物の芽がめぶく。大きな岩を置くことが変化の足がかりになる。
長い時間をかけると草原ができ、風が生まれ、雨がふり、森ができる。さらには川が生まれる。
こうしてなにもない場所には森、すなわち文章ができあがる。だからまず最初にやるべきは「きっかけを与えること」でとどのつまり「岩を置く」こと。
文章を書くにあたってはやはり「主題」を決め、一にも二にも書き始めなければならない。岩さえ置けば、あとはそこに微生物や植物などが自然に発生し、風が吹き、川が流れる。文章も似ていると言えまいか。
よってしつこいが、文章を書きたいなら岩を置け、となる。
ぜひ、みなさんだけの大きな岩を探して、ここに置いてみるといいかもしれない。きっといい風が吹き、でかく美しい森になるはず。
私もいい森をつくりたい。
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〈あとがき〉
無印良品のコラムがあまりによかったので引用して記事を作っちゃいました。みんな無印良品が好きだと思いますが、いまから14年も前にこんなコラムを書いちゃってるあたりも好きになる要因かもしれませんね。今日も最後までありがとうございました。
【関連】noteの作り方の参考はこちら
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