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結論から言う人。

むかしいた会社の上司の口グセは「結論から言うと」だった。お決まりなんだけど「結論から言うと」って言ってるくせに全然結論がわからない。何回もそんなことがあったからちょっと笑っちゃった。性格が悪い。

当時26歳だった私は「この人はやけに結論から話したがるなぁ」と思ったものである。


持論だが、この「結論から言うと」を使う人には2種類の人がいると思っている。

前者は本当に結論ファーストで話す人。論理的で理路整然とした物言いをしてくる。

後者は先ほどの上司のように、結論を言わない人。自ら「今から結論を言いますよ〜」って宣言してくるくせに結論を言わない。完全なる偏見だが、このタイプはコンプレックスを抱えている傾向にある。

結論ファーストで話す人への憧れコンプレックス

物事を学ぶという過程の最初のステップは、目指すべき理想像を体現する人をマネることから始まる。しかもできるだけ簡単なことからマネるといい。

その観点でいうと「結論から言うと」はマネをしやすい。枕詞にするだけでいいからだ。これを言うと、たとえ結論に至るまでに時間がかかった話し方をしたとしても許される気持ちになる。最後には結論に至るわけだから別にいいよね、という妥協。なんならその妥協に気づいていないという滑稽さ。


思うにこの「結論から言うと」から回答が始まるタイプの人に対しては、たとえきちんと結論から言ってくるタイプだったとしても「なんかちがう」と思っちゃう。

感覚的な問題だから言葉にするのは難しいんだけど、そもそもわざわざ言葉にするまでもない感覚。うすら寒いのだ。


質問されたことを反復してもらってから回答されたほうがなんだかうれしい。私たちが質問するときに本当に求めているのは、結論ファーストの回答ではなく、そもそも質問意図をくんでくれてるかどうかだ。

もちろん、質問意図をくんだうえで的確な回答を結論ファーストでくれるのが1番よい。が、「結論から言うと」は要らない。鼻につく。


それであれば、質問を反復しつつ質問意図を認識していることを示してくれたほうがうれしい。どういうことかを3パターンの会話例で書いてみよう。特に解説はしないが噛み締めるように読んでいただきたい。


・パターン1
結論から言うとを使用する論理派の場合

質問者「このシステムって機能の割には月の利用料金が割高な気がするんですけど、理由はなんですか?」

回答「はい、結論から言うとアフターフォロー体制が整っているからです。どういうことかと言いますと」


・パターン2
結論から言うとを使用するポンコツの場合

質問者「このシステムって機能の割には月の利用料金が割高な気がするんですけど、理由はなんですか?」

回答「はい、結論から言うと弊社のこのシステムはなんちゃら方式を採用してまして、うんたらかんたらもんたらかんたらなんです。過去にチンプンカンプンなお客様がいてチチンプイプイビビデバビデブーな状態だったんですが、弊社独自のフォロー体制を確立しまして……あれ? 質問ってなんでしたっけ?」


・パターン3
結論から言うとを使わず質問意図を反復する場合

質問者「このシステムって機能の割には月の利用料金が割高な気がするんですけど、理由はなんですか?」

回答「あー『機能の割には月の利用料が割高な気がする』つまり他社システムと比べてどんな違いがあるのかお知りになりたい、という認識で回答しますがよろしいですか?」

質問者「そういうことです」

回答「それでいうとアフターフォロー体制の違いが割高な要因です。具体的には」



もちろん状況にもよる。

が、個人的にはパターン3がうれしいし、これまで見てきた優れたビジネスパーソンはパターン3の人間が多い。

さらにいうと、質問者と回答者の知識レベルが高い次元で均衡状態にあると質問意図の確認も不要だし、結論から言うともまったくの不要になる。1を聞いて10を知る人たちだからね。



さて、この記事の結論は「結論から言うと」を使うのはやめよう、ということで、そもそもこの記事自体が全然結論ファーストの記事ではない、というところがニヤリとするポイントである。


結論が大事だということで終わらせてください。


〈あとがき〉
この記事、前日の深夜1時前にベッドの中で書きました。ストックしていた記事がすっかりなくなって日中にnoteを開く時間もないという大ピンチ状態に突入しています。時間管理のやり方に課題を抱える私ですが、そもそも結論ファーストという考え方も鼻につくな、と思ったりもします。今日も最後までありがとうございました。

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