新卒・転職 2度の就活で見つけた「本当の自己分析」
今回は、自分の就活(新卒と転職)を振り返りながら、
について、まとめたいと思います。
この方法が正解というわけではないですが、少しでも、
の参考になれば嬉しいです。
私は、理系の大学院を修了したあと、いわゆる文系就職である企画職として、大手メーカーに新卒で入りました。そのあと、企画職のままIT業界に転職し、今に至ります。ご時世的に求人数の少ない中での転職ながら、年収もポジションもアップし、仕事終わりには動画制作をしたり、文章を書いたりしながら、穏やかに過ごしています。
二度の就活を通して感じたのは、〇〇出身だからこの業界・職種といった固定観念は、気にしなくていいということです。私自身、理系から文系就職、メーカーからITと、未経験の領域にピボットしながら、キャリアを歩んでいます。
そのようなピボットができた理由を振り返ると、「大学・大学院で得た数理的処理の能力と、アウトプットが好きというクリエイティブさを掛け合わせて、企画・マーケティングの世界でキャリアを歩む」と、早い段階で腹をくくることができたからだと思います。
自分の居場所を見つける方法
まず、世の中に仕事として用意されているポジションは、明確に分解することができます。
松本利明さんが著書の中で示すキャリアを考える視点のうち、「業界・職種・会社」で居場所を探る考え方は、仕事のポジションを分解する方法としても即効性が高いと感じます。
さらに、
新卒の場合、職種は入社後に会社が決めることが多いため、どうしても会社軸での就職になってしまう(この点は松本さんも指摘している)わけですが、特にここ最近、転職という選択肢が一般的になりつつあることで、会社主導の配置や異動の有効性が見直されはじめています。
そのため、新卒であっても、「職種」で自分の居場所を探し、新卒の時期からポータブルスキルを着々と身につけていく、よりジョブ型に寄ったキャリアを歩むことの重要が高まっていると思います。
また、業界や会社は、どれだけ事前に情報を集めていても、入ってみないとわからない要素が多いです。この点からも、最終的に業界や会社を軸に居場所を選ぶことになったとしても、まずは「職種」を軸に分析をしてみることをおすすめします。
職種 × 正しい自己分析
ここからは、新卒採用でも転職活動でも行う自己分析の具体的なメソッドを紐解いていきたいと思います。
私の場合、新卒で採用された組み合わせは下記(図1)です。当時の私は、就活の時点で、職種を「商品企画」に絞っていました。実際に希望通りの職につき、転職を経ながら、今だに商品・製品企画の道を歩んでいる訳ですが、納得のいくポジションを見つけるために行っていたことが「職種 × 自己分析」でした。
具体的には、以下の3つのステップで行います。
①狙うべき職種にアタリをつける
まず大切なのは、職種そのものを深く知り、解像度を高めることです。
例えば、企画といっても、商品企画、販売・営業企画、広告企画、事業企画など、職種としては様々です。また、「マーケティングをやりたい!」と思ったとしても、営業として顧客の声を聞くことも、市場調査をしてデータ分析することも、生産部門でコストを最適化することも、売れるモノや仕組みをつくり出すという意味では、すべてマーケティング活動です。
自分がやりたいと感じる仕事は、そもそもどの職種として存在しているのか、ここを外してしまうと、いざ面接に臨んだときに話の一貫性を失ってしまいます。
自分のイメージした仕事内容や仕事のスタイル(働く場所や誰とコミュニケーションをとることになるのかなど)を職種図鑑などで調べながら、理解を深めていきます。この時点では、複数の職種にアタリをつけてもいいと思います。大切なのは、イメージした上で、その職種を選べているかです。
② 自分の能力を当てはめてみる
次に、その職種に就くにあたって、自分の能力を活かせるかを確認します。①で行った職種の研究を参考に、アタリをつけた職種に求められるスキルを書き出します。
例えば、商品企画で求められるスキルを書き出すと以下(図2)のようになります(今回はわかりやすく3つに絞っています)。
そして、書き出したスキルのひとつひとつに、自分の経験を当てはめます(図3)。新卒の場合は学生時代の経験、転職の場合は職務経歴が、これにあたります。
この手順で必要になるのが「自己分析」です。「学生時代に頑張った経験があまりない」と、不安になっている方もいると思いますが、忘れて欲しくないのが、必ずしも誰もが圧倒されるような突き抜けた経験が必要とされているわけではないということです。大切なのは、求められるポジション(職種)に内容とレベルが合った経験をしているか、また、その経験から実際の職務内容に活かせる能力を理解し、得ているか、です。
ぜひ、この視点で自己分析を行い、必要とされるスキルと自分の経験・能力を合致させてください。
③ 自分の人生ぜんぶをつなげてみる
最後のステップとして、スキルにつながる経験を、学生時代にとどまらず、自分の人生ぜんぶから探しておくことをおすすめします。原体験を紐解くイメージです。
個人的には、採用面接でたまに行われる突拍子もない質問や性格を問う質問は、用意していたエピソードトークの裏側にある、そのひとの性質を形成するコア=「価値観」を知るためにあると感じています(そこまで考えていない面接官もいるかとは思いますが)。
裏を返せば、その仕事に就きたいと思うに至った経験が、幼少期からの経験など、その人を形成する価値観と繋がっているとしたら、誰も文句を言えません。
例えば、下記のような感じです(図4)。
幼少期から、小学校〜大学と、経験を紐解き、自分の価値観と目の前の仕事がどう繋がっているのかを整理しておきます。価値観を具体的に説明できることで、聞き手からすると、
このひとが、一貫した価値観に基づき、これまでの人生をかけて伸ばし続けてきた能力なのだから、
多少困難があってもブレることがない
これからも(入社後も)伸ばし続けるはず
なにより、数年という長い時間をかけるのは簡単なことではない
と、説得力を感じるのです。
企業研究にも活きてくる
私は、面接で話す内容は、ほとんど下記の内容に集約されると思っています。
世の中では、こういうことが起こっていて、
自分自身は、それをこうしたら解決できるんじゃないかと思っていて、
御社を通して、それができそうだと思っているんです。(←企業研究)
考えが一致しますよね?一緒にやりましょうよ!
という感じです。
この内容を、面接官は質問を繰り返すことで確認していて、採用される側は回答を通して説明している感じだと思っています。
自身と企業の考えの一致を探るためにも、企業研究をする際に、自分がやってきた経験や価値観を理解した上で、一致・不一致を探れることが重要です。この点も、自己分析をしっかりと行うことが重要だと考える理由のひとつです。
入社後も活きてくる
自らのポジションへの理解が深まっていると、入社直後からぐんぐんと成長することができます。
具体的には、
があると感じています。
① 身につけるべきスキルを理解できる
この点については、自らの成長のために身につけるべきという視点もありますが、周りから求められているスキルを理解できるという大きな利点があります。そのポジションで求められてるスキルと自分の得意なことが重なる部分を意識できることで、突き抜けた成長を描くことができます。
② 仕事との価値観の不一致を判断できる
仕事をしていると、どんな会社でどんな仕事をしていようと、誰しも一定の不満や悩みを抱えるものです。不満や悩みを抱えること自体は、ごく自然なことですが、重要なのは、その不満や悩みがどのような方法で解消できるものであるかを適切に判断することだと思います。具体的な個人との人間関係や上司との関係における不満、もしくは仕事内容への不満なら、部署を変えるなど、身近な解決策で解消できるかもしれません。
一方で、自分の価値観と会社の文化やミッションのレベルでの不一致を感じる場合は、転職してしまっていいと思います。そういった点でも、自分がどういうときに楽しさを感じるのか、何をつらいと感じるのか、何を許せないと思うのか、といった自身の価値観への理解をしておく必要があります。
③ 戦略的に職務経験を積み上げられる
スキルと価値観への理解を深めておくことで、
多少の不満や悩みは「これは価値観の違いほどではない小さなものだな」と、上手くいなす。
一見すると楽しそうに見えない仕事でも、「この仕事はこのスキルの練習のために使えそうだな」と、楽しみを見つける。
といったことが可能になります。これを繰り返しながら日々の仕事を行うことで、スキル獲得のために必要な業務を、戦略的にピックアップすることができるようになります。
転職につながるポータブルスキル
職種において求められるスキルと自分の価値観や能力が一致しているかどうかを理解した上でキャリアをスタートし、実際に職務経験を積むと、転職にも活かすことができます。
キャリアアップの転職の場合、多くは、業界・職種のいずれかを固定し、一方をずらすことで、それまでの経験を活かしながら、新しい能力を身につけていきます。
別業界への転職の場合、その業界特有の知識やスキルは、あとから身につけてもらうとしても、即戦力として発揮できる能力は何なのか、つまりポータブルスキルは何なのかが問われます。
転職の面接においては、このポータブルスキルをいかに説明できるかが重要になってきますが、これまで説明してきたように「一貫した価値観に基づき、学生時代までの人生を過ごし、その延長線上として、前職で実際の職務経験まで重ねてきた」となれば、「業界や会社を移っても、この人の価値観と能力は揺るぎないものだろう」と思ってもらえるわけです。
社会人になっても、年に一度くらいは自己分析をしてみた方がいいと言われる理由も、自分の強みや価値観を理解した上で日々の業務を行うことで、一貫性をもった経験を積むことができるから、だと思います。
何度でも挑戦できる
新卒での就活、転職、日々の業務など、どんな場面においても、「こっちの会社の方がいいんじゃないか」「内定なんて一生もらえないんじゃないか」「自分は全然ダメなんじゃないか」と、たくさんの不安が渦巻きます。私もそうです。
ただ、これまでを振り返って思うのは、自分の価値観に嘘をついていなければ、大体のことは何とか乗り切れる、ということです。
これらの言葉にある通り、ひとつの軸を持っていれば、その周辺で起こることは、すべてが軸をより強くしていくための経験になります。
ある日、立ち止まって自分の人生を振り返ったときに、「いろいろあったけど、どの経験も正解だったな」と思えるように、まずは今の自分を振り返ってみるところから、はじめてみていただければと思います。
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