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企業分析 | ベネッセホールディングス

本日は「進研ゼミ」でお馴染みのベネッセホールディングスを分析していきたいと思います。ベネッセホールディングスは、「一人ひとりの『よく生きる』の実現に向けて、生涯にわたって向上意欲と課題解決を支援し続けること」を理念に掲げています。

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会社概要

・創業:1955年(昭和30年)
・資本金:136億6600万
・本社:岡山市北区南方

<事業内容>
・国内教育(通信教育や学校教育など)
・グローバル子供チャレンジ(こどもちゃれんじ)
・介護・保育(介護サービス、保育・学童)
・ベルリッツ(語学教育、留学支援)
・その他(雑誌)

<主なグループ会社>
・株式会社ベネッセコーポレーション
通信教育「進研ゼミ」、模擬試験、雑誌等
・株式会社東京個別指導学院
個別指導教育を中心とした教育事業

4P分析

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Product(プロダクト:製品)
ベネッセといえばやはり「進研ゼミ」ですね。
ベネッセホールディングの国内教育事業は「通信教育事業」「学校向け教育事業」「塾・教室」の分野で事業が構成されおり、ベネッセホールディング売上全体の40%以上を占めます。通信教育事業の「進研ゼミ」は小中高と講座を提供しており、一人一人の成長段階、個別ニーズに合わせてデジタル教材と紙の教材をバランスよく提供しています。
またベネッセは、小学生から社会人まで英語力が測定できるスコア型英語4技能検定「GTEC」を運営しています。

Price(プライス:価格)
進研ゼミの価格は学年やプランによって様々です。
(小学一年生:月2980円、4年生:月4430円、6年生:5730円、中学3年生:9980円、高校1年生:6009円 など)

Place(プレイス:流通)
デバイスを活用した動画教材の展開も進んでいます。エドテックの盛り上がりを考えると、教材のデジタル化は今後もますます進んでいくことが予想されます。
私は紙の進研ゼミしか味わったことのない世代なので想像ベースになりますが、今までは赤ペン先生しかユーザー(受講者)の動向を追えなかったのが、教材のデジタル化が進むことで、日々の練習問題でもユーザー(受講者)の動向を追うことができ、先回りしたマーケティング活動がより活発に行えそうですね。

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Promotion(プロモーション:販売促進)
進研ゼミといえばDMのマンガを思い浮かべることが多いと思います。こどもがワクワクするようなDMのデザインがされている印象です。

PEST分析

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Politics/Political(政治面)
「センター試験」に代わり2021年1月より導入される「大学入学共通テスト」では民間英語検定試験を活用した英語4技能(聞く、話す、読む、書く)評価の導入が予定されています。また、小学校で2020年度より完全実施される次期学習指導要領では小学3・4年生で英語が必修化、小学5・6年生で教科化されるとのことで、各年代の教育カリキュラムが変更されていきます。

Economy/Economical(経済面)
19歳以下の人口は、2015年の22百万人から、2030年には17百万人、2040年には15百万人と予測されており、少子化による構造的な市場縮小は避けられない状況です。
一方、エドテック(教育現場を、テクノロジーの力で革新していくことを目指すビジネス領域)の市場規模は増加しており、国内の市場規模は2015年の1640億円から2020年には2403億円の1.5倍成長が予測されています。世界規模は2020年に11兆2512億円と予測されています。またエドテック市場は、人生100年時代や急速な社会変化に応じたスキルを身に付けていく必要性からリカレント教育の需要が増加することで、今後も成長が予想される市場です。
経済産業省

Society/Social/Cultural(社会/文化/ライフスタイル面)
YouTubeを中心とした動画視聴が普及しています。

【年代別YouTube利用率】
10代……93.5%
20代……94.0%
30代……87.4%
40代……80.4%
「総務省情報通信政策研究所」から

また、スマートスピーカーをはじめ音声メディア市場も急成長しており、教育も「動画」と「音声」は大きなテーマになりそうです。

Technology/Technological(技術面)
デジタル教材技術の発達は今後大きな影響を与えることが考えられます。
5Gにより動画性能の向上が期待されており、動画教材がますます普及していくでしょう。

3C分析

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教材のデジタル化は今後重要な要素になりそうです。
従来の教育コンテンツのみならず、英会話やプログラミング、スポーツなど対応領域拡大が進んでいくと考えられます。
「資格取得学校市場」や「社会人向け通信教育市場」に関しては、特に就職に直結する資格系講座は、不況期に需要が高まる一方、好況時には需要が後退するといった傾向があるとのことです。

PEST分析

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強み(Strength)
「ベネッセ」「進研ゼミ」という絶対的なブランドは大きな強みです。
進研ゼミブランドを活かした、「新たなコンテンツの提供」や「学びなおし市場」へのアプローチは今後の戦略の一つになるでしょう。

リクルートが運営する「スタディサプリ」は月額980円で授業動画を視聴することができ、低価格でお手頃な動画教材を提供しています。ベネッセの会員登録数減少はこういったオンラインサービスの台頭も一つの影響として考えられますが、スタディサプリの会員数は74万人である(前期比べる8.7万人増)ため、いまだベネッセの会員数は圧倒的なシェアを誇っていると考えることができます。

弱み(Weakness)
ベネッセの会員数は一時期400万人を超えていましたが、個人情報流出問題や少子化、その他新規オンラインサービスの普及に伴って、会員数が減少しています。(2019年4月262万人)
その中、2020年度4月に「進研ゼミ」と「こどもチャレンジ」を合わせた通信教育事業の会員数を300万人に戻すと戦略を掲げています。ベネッセといえば「ダイレクトメール」ですが、それに代わる販売手法を生み出していく必要がありそうです。
(一方で会員数成長から利益成長へ戦略を変更し、非効率な新規営業を抑制し構造改革による収益率向上のバランスをとる と戦略を掲げています)

機会(Opportunity)
エドテック市場の盛り上がりは大きな機会になりそうです。
動画やタブレットなど教育コンテンツ提供のチャネル技術が発達しており、進研ゼミブランドを活かした動画の教育コンテンツ拡充は今後も期待されます。
また「大人向け、学び直し市場」へのアプローチも絶好のチャンスになりそうです。

脅威(Threat)

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(専業主婦世帯と共働き世帯の推移 - 厚生労働省)

共働きの増加に伴って、親の帰りが遅くなり通信教育の進捗を確認してあげることができなくなることから塾に通わせる人が増えている。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
少子化に伴う市場規模縮小は避けれれませんが、エドテックの盛り上がりやリカレント教育など、今後も教育事業は盛り上がっていきそうです。

ベネッセの今後の成長戦略では「商品・サービスのデジタル化推進による、個別性の向上」「時期別×ターゲット別×チャネル別」の販売戦略の再構築を掲げています。

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ベネッセのデジタル化推進の動向には今後も注目です!


(2020年1月更新)

<参考>
https://www.benesse-hd.co.jp/ja/about/philosophy.html
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_kyoshitsu/pdf/001_03_03.pdf
https://pdf.irpocket.com/C9783/D5nz/WSZZ/RYa1.pdf
https://www.vorkers.com/company_answer.php?m_id=a0910000000Fs0T&q_no=9
https://video-academy.jp/blog/policy/promotion/7376/
https://www.soumu.go.jp/main_content/000564530.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000118655.pdf
https://www.benesse-hd.co.jp/ja/ir/doc/stock/shareholdersmeeting/stockmeeting_65.pdf





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