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「競合はいない!」は、HAPPYなのか?

最近、起業コンセプトを見ていていると「競合はいない!」という人が多い感じがする。言い換えれば「自分のビジネスは、自分以外考えていない」といった感じだろうか。

確かに、競合を見つけにくい場合やノーベル賞並みのアイデアを思いついたということもあるだろう。

でも、スマホを取り出しインスタを見るのをやめ、GoogleかYahoo!の検索とにらめっこすれば競合が見つかることがほとんどだ。

じゃあ「どうして競合は見つからないのか?」という話だ。

「競合を分析するにはどうしたらいいのか?」という本は世の中に死ぬほど出版されていて、だいたい言っていることが同じなんだが、「競合を見つける」だけにクローズアップしたものはあまり世の中にないなぁと思った。

というわけで、オレも正直、まったくわからないんだが、拙いながら書いてみたいと思う。

競合は相対価値で決まる!?

以前、こんな記事を書いた。

これは何かというと、競合分析の手法をまとめたものだ。簡単に説明すると、競合の特徴を見つけるときは、自分と他社(人)を比較するのが大事だよ、という話だ。

しかし、ここにある「比較」というのが、みんなの目にとまりやすいのか、競合を探すより先に比較をしてしまう、ということをよく見かける。

比較から入ってしまうと、ここは自分の方が優れているな、これってもしかして人類初のアイデアなのでは・・・と思ってしまいがちなのかもしれないが、

ほぼ間違いなく、後々、競合が見つかる。

たとえば、あるスポーツで県内1位のチームが全国大会に出たら予選で惨敗した。なんて事を聞いたことはないだろうか。理由は単純で、県内にそのスポーツをしている学校が二つしか無かったからだ。

一言でいうと「比較をするのが早すぎた」ということだ。

比較はいわば、後半にすべきものなのに、いきなり比較から始めると、無数に存在する競合が見えにくくなってしまう。

競合は居ない方がいいのか?

となると「じゃあどうやって見つければいいの?」となる。

答えは簡単で、WEBで調べる。

たったそれだけだ。

本当に、たったそれだけ。もう一度いう。たったそれだけ。

心配性だから、念押しでもう一度。WEBで調べる、たったそれだけ。

ここで多くの人が「結局、根気よく調べないとダメなんだ」と諦めてしまうが、そもそも競合が居たらダメだ、困るという気持ちが検索を邪魔しているのかもしれない。

確かに、競合がたくさんいると、競争は激しくなる。これは紛れも無い事実だ。だからこそ、競合が居ない方がいいと思ってしまう。

でも、競合は本当に居ない方がいいのだろうか?

競合が見つかって良かったといことはないのだろうか?


競合は生きた教科書

ということで、競合がいたらどうしよう症候群を解決するために、飲食店の開業を例に、ちょっと考えてみようと思う。

まず、飲食店を開業する場合、立地の選定がめちゃくちゃ重要だ。たとえば「こだわりイタリア料理店」を開業することにする。立地はオレの出生地、「東京都港区」だとしよう。

そこで、「こだわりイタリアン」「港区」で地図検索をかけてみると、赤いマークが重なり合うぐらいお店が見つかる。

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あの有名な、「オレのイタリアン」が検索結果の上位に出現している。

もちろん、全部が競合という訳ではない。だが、立地を軸に検索をかけるだけでも、とんでもない数になる。

検索さえすれば、競合の情報はこの通りいくらでも取れるのだ。

で、大事なのがここから。

ひたすら検索にヒットしたイタリア料理店を見ていく。

「結局、根気よく調べないとダメなんじゃないか!」と叱られそうだが、この量稽古から逃げてしまうと、全国大会初戦で敗退をしてしまうの…

個別のお店についてのコメントは控えるとして、検索結果から、気になるフレーズをいくつかピックアップしてみると、

・旬の有機野菜をふんだんに使用したシェフの自慢の一品
・贅沢な空間とロマンチックな個室を完備
・学生に大人気、味とボリュームの地域一番店

といった、なかなか手ごわそうな競合がたくさんいる事がわかる。

競合の数と多様性に圧倒されてしまうかも知れないが、やっとここで朗報だ。

実は、ここだけの話、競合調査はみんなを大変にするものじゃない。むしろ、ラクにしてくれるもの、役立つ知識や発見を提供してくれるものなんだ。まぁ、検索はちょっと手間かもしれないが。

つまり、自分のイメージする「こだわりイタリア料理店」を念頭に、競合店のサービス内容や価格設定、メニューやインテリアなど、「生きた教科書」から徹底的に勉強ができるということだ。

「自分のお店をより良いものにするために、先輩から学ぶ」という視点をもてれば、競合が見つかっても、良かったとポジティブに捉えられる。

たとえば、自分のイメージする店とよく似たお店を見つけたとしよう。

立地、店構え、インテリア、対象顧客、メニューの品揃え、価格帯などなど、「こだわりイタリア料理店」のイメージに近く、しかも開業十年の大先輩だ。

こんな出会いをモノにできたら、競合調査はかなり意義深いものになる。大先輩から、生き残りの秘訣を徹底して学びとるチャンスだ。

サービス内容だけじゃない。開業の経緯や経営者の考え方はもちろん、顧客の声やメディア掲載記事など、検索用語を変えながら掘り下げて調査すると、思わず関心してしまう特徴が見つかる。

こうした量稽古を十店繰り返したとしよう。
自店のイメージは、より現実的にブラッシュアップされ、計画に迫力が増すはずだ。

そして、できたら、実際にお店に足を運んでみよう。

店に入り、お客さんとして接客をうけ、メニューを検討し、自慢の料理を味わい、店内の熱気、周囲のお客さん、スタッフとお客さんとのやりとりなどを、全身で吸収する。

もし周囲にお客さんがすくなければ、お店の運営に迷惑がかからない範囲で、勇気をだして店長さんに話しかけてみてもいい。

結果的に「競合に貴重なノウハウはわたさないよ」と言われても、それはそれで、経営者のあるべき対応の仕方として、勉強になる。

だが、もしキミの意欲に応じて、アドバイスをもらえたら、具体的なメニュー構成の工夫、それぞれの原価率、お客さんの心のつかみ方など、店長さんが血肉としてきたノウハウをすこしでも分けてもらえたら、これにまさるものはない。

一説には、「学ぶ」の語源は、「マネル」だという。

もちろん、マネをするだけではオリジナルを超えることはできない。それに、知的財産に関わるものをマネしてしまうことは、法律違反だ。

先輩起業家の挑戦に謙虚に学び、生きたビジネスのあり方を全力で吸収させてもらう。そんな気持ちが大切だ。

「競合はいない!」と言いながら、心のどこかで本当は競合が居るかもしれないと思っている人は、今からでも遅くない、競合調査に取り組んでみよう。

新たな出会い、目からウロコの発見が、きっとたくさんあるはずだ。

そして、競合がいても良かった、HAPPYと思える前向きさが、競合を見つけ易くするコツなのかもしれない。

おわり!