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おじ(い)さんたちの宴会

こんにちは、ぱんだごろごろです。
先月下旬の土曜日、夫が学生時代の友人四人を招いて、我が家で飲み会を行いました。
今回はその顚末記です。

夫は理系の学部の出身で、仲間たちと同じく大学院の修士課程に進み、同じように電子機器を作るメーカーに就職しました。

就職に当たっては、指導教授から、どんなところが良いかと聞かれ、
『お釜や洗濯機ではないものを作りたいです』
と答えたところ、今の会社に決まったそうです。

当時は今のような就職活動はなく、担当教授と企業との話し合いで決まっていたのですね。

仲間の友人たちも同じようにして就職先が決まりましたが、不思議なことに、五人全員違う会社に就職しました。

同業他社と言うのでしょうが、誰も就職先が被っていなかったことで、かえって出世だの何だのから離れた付き合いができたのでしょう。

就職してからも、40年以上に渡って友だち付き合いは続きました。
うち何年かは、転勤や海外赴任などで、メンバーが揃わないこともありました。
が、彼らは年に一度は会おうと決め、毎年誰かが幹事になり、五人の同期会を続けてきたのです。


それがどうして、今年は我が家で開催されることになったのか。


去年の秋、夫はいつもの仲間と一緒に、箱根一泊旅行に出かけました。

それまでは、東京か神奈川あたりのレストランか大人向けの居酒屋で、食べて飲んで、その後は喫茶店で二次会をして別れる、というパターンだったそうです。

それが、皆、定年で退職した後は、同じ会社に再就職する人、夫のように個人事業主になる人、まったく別の職種に移る人、退職後はボランティア活動をする人と、バラバラになりました。

以前よりは時間の自由が利くようになったのだから、泊まりで温泉にでも行って、ゆっくり喋ろうじゃないか、ということになり、箱根へ出掛けたのです。

おじさんと言うより、60代後半、前期高齢者で年金をもらっている、おじいさんたちの一泊旅行です。
さぞかし楽しかっただろうと思い、聞いてみると、意外な答えが返ってきました。

たしかに楽しかったのだが、うちの一人が、帰って来てからメールで、
『話し足りなかった』
と言っている、と。

いや、心ゆくまで喋りたいから、旅行に行ったんだよね?

そのはずだったのですが、電車に乗ったりロープウェイに乗ったり、歩き回って観光したりした結果、温泉旅館で食事をしながらお酒を飲んでいたら、存外呆気なく酔ってしまい、皆、話しもそこそこに寝てしまったと。

その結果、話し足りなかった、という感想が出て来たのでした。

その彼は、一人だけ北関東県在住者。
わざわざ箱根まで来てくれたのに、物足りない思いで帰宅させたのは悪かった。

夫はそう思ったようなのです。

私が、ある日、翌月の土曜日に用事が入り、夜まで帰れない、と言うと、
『じゃあ、その日、昼から友だちを家に招んでいい?』
と訊いて来ました。

『どうぞ』

私がいない方が、おじ(い)さんたちは、気兼ねなく飲んだり喋ったりできるからよね、と思いました。

昼から夜までぶっ通しで喋る会。

いいじゃありませんか。

『食事はどうするの?』
と訊くと、
『寿司とピザを買いに行こうかな』

『あとは、サラダとデザートと、オードブルみたいなものもあるといいよね。
あ、そうだ、四人の人に、それぞれ買ってきてもらえばいいんじゃない?
この人はケーキ、この人はサラダって具合に、担当を決めて、買ってきてもらうの』


私が考えたのは、持ち寄りパーティーでした。

一般的な持ち寄りパーティーでは、各参加者が、自分の得意な料理を作って持ち寄りますが、おじ(い)さんの宴会ですから、買ってきてもらえば良いと思ったのです。

夫は私のアイディアを良いと思ったようでした。

ビールや日本酒、ワイン、ウーロン茶など、飲み物は重いので自分が用意。

メールで提案したところ、皆賛成してくれたそうです。
駅ビルで集合し、四人揃ってから、食品のフロアで選んで買ってきてくれることになりました。

お昼にはお寿司を買って、ピザは夕方になってからデリバリーを頼むことに。

かかった費用は、すべて集計したあと、割り勘で精算したそうです。
それでも一人6,000円くらいでおさまり、普段食事をしながら飲んで、その後喫茶店でケーキとコーヒーを頼んでいたことを考えると、かなり安く済んだそうです。

さて、おじ(い)さんたちの宴会のために、我が家で用意したのは、

ビールグラス、ワイングラス、ウォーターグラス、お猪口、割り箸、ストロー、デザート皿、デザート用のフォーク、コーヒーカップ、取り皿、小皿、サラダ用のガラスの器、箸置き、紙皿などなど。


五客揃った食器を探しながら、古いものはこれを機に処分することにしたり、あまり使っていなかったものはすべて洗って漂白したり。


期せずして食器棚の大掃除をすることになりましたが、こんな機会でもないと、古い食器はなかなか処分できないので、良いきっかけになりました。

座布団も揃ったものがなかったので、カバーだけ五枚買ってきて、上から被せました。

留守番役のご家族、主に奥さまへのお土産として、持ち帰ってもらう、ちょっとしたお菓子も用意しました。

掃除は前日に済ませておきましたが、当日の最終仕上げとして、もう一度玄関とトイレの掃除をして、私の持ち分の仕事は完了。

あとはよろしくね、と言って、家を出ました。

夜帰って来ると、大量の食器がすべてきれいに洗われて、テーブルの上に乗っていました。

夫は、洗ったものの、食器棚のどこにしまえばいいのかわからないから出したままになっていたそう。

これだけの食器を使うからには、かなり盛大な宴会だったのでしょう。
皆、喜んで帰って行ったとのことでした。
友人たちはお昼少し前に着いて、夜7時過ぎに解散となったそうです。
夫は、今日は7時間、たっぷり喋ったからな~、と満足気でした。


後で気付いたことですが、夫はリフォームした家を、誰かに見てもらいたいという気持ちもあったんじゃないかな、と。

お風呂やトイレの水回りに、玄関先と廊下、子ども部屋と、一通りリフォームが済んだあと、夫は今年に入ってから、一階と二階の和室の襖と障子の張り替えを業者に依頼しました。

私は、襖の張り替えはまだ先でもいいのではと思っていたのですが、夫がしたいと言うので賛成しました。

障子は、以前は夫が自分で張り替えていました。が、年をとってきたのと、知人から強度の高いプラスチックの障子紙があるというのを聞いたことから、頼むことになりました。

もしかしたら、一階の和室に友だちを招いて、宴会をすることを想定して、準備していたのかもしれません。

上手くいって、良かったね。


今日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。


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