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【白熊杯】短歌


朝まだき庭の片隅氷張る小さな池に魚は棲むや


あさまだきにわのかたすみこおりはるちいさないけにさかなはすむや


結婚するまで住んでいた、板橋区の実家には、小さな井戸と、二つの小さな池がありました。
今でも、時々、あの家と庭のことを思い出します。



長い時間付き合いを続け繋がっていると思ひし人は逝きけり


ながいときつきあいをつづけつながっているとおもいしひとはゆきけり


去年の秋、手紙を出した女性から、返事が来ませんでした。
身体の具合でも良くないのかな、と思っていました。
年明けに、友人から、その女性のなさぬ仲の息子さんから、寒中見舞いの葉書をもらったこと、
その中に、去年の五月に、彼女が亡くなったと書かれていた、ということを知らされました。

私は、もう亡くなっていた彼女に手紙を書いていたのですね。

中学生の時に、彼女と知り合いました。
仲良くなって、私の結婚式にも来てもらいました。
以来、数十年に渡って、付き合いは続きました。
数年前から、年賀状のやり取りだけになっても、心は繋がっていると思っていました。

一昨年、年賀状はやめにします、という知らせがきたので、去年と今年は賀状は出しませんでした。

猫の好きなひとでした。
お姉さん、と呼んでいました。

泣きませんでした。

ぽっかりと穴が開いたような気がしただけでした。



君のひげ毛の生えたその柔肌も牙ある口もすべて愛おし


きみのひげけのはえたそのやわはだもきばあるくちもすべていとおし


実家では、ずっと猫を飼っていたせいか、今でも猫が一番好きです。

最後の飼い猫となったミニです。

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#白熊短歌


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