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穀雨

薄目を開けば、カーテンの向こうはこちらよりも明るかった。

黒髪がはらりとシーツに散らばって、
少し覗く耳が美味しそうだと思う。

雨の音がした。

光る首筋に口付けを落とす。
柔らかいとこを見つけて種を蒔くように、
身体中にキスの雨が降る。
もう一度、そっと後ろから寄り添った。

温かい慈雨に草花が芽吹く。
表面にはさわさわと葉が生い茂る。

しっとりと根を張って。

こんな日は、
ベットに縫い付けられてもいい。

穀雨(こくう)

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