紅梅
梅と言えば、もともと野梅の白梅を指していた。
しかし色味や開花時期も異なることから、後に季語として独立したのが紅梅である。
万葉集の時代は「白梅」が、平安時代には「紅梅」が、時代の移り変わりとともに好まれ、その姿は数多くの歌人を魅了してきた。
また、梅は開花が早いことから「花の兄」とも呼ばれるそうだ。
そんな僕の説明を聞いて、
「へぇ、じゃあ、まさしくシロがお兄さんで、ベニは妹やね。」
したり顔の彼女の口元からはちらりと八重歯が覗く。
僕の脳内では、梅はもっと上品なイメージだったので、実家の犬みたい呼び付けれた紅白のふたりが、むっと眉をひそめているのを想像して、つられて笑った。
辺りは艶やかな濃淡のグラデーションに彩られ、
心地よい香りがそっと僕たちを包み込んでいた。
紅梅(こうばい)
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落ちは違うけど、あえてちょっと対にしてる言葉もあるので、
ぜひ良かったら昨日のも!白梅(はくばい)
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