【癌日記56日目】ワーママの仕事復帰事情/卵巣癌・子宮体癌
卵巣癌と子宮体癌の手術入院の最終日に抗がん剤治療を受けて翌実退院し、週明けに仕事復帰した。術後10日ほどの復帰だ。
手術&抗がん剤直後の仕事復帰は子供の学費のため
在宅勤務が可能な職場だからすぐに復帰しようと思った。共働きを前提にというか、もともと夫が中学受験に反対して以来、子供塾代や中高一貫校の学費は私一人で出してきた。
子供一人あたりの学費は毎月10~15万円かかる。仕事復帰を2カ月も3カ月も先延ばしにするという選択肢は贅沢に感じた。
頼んだら夫は学費を出すのだろうと思うけれど、夫からの自主的な提案がない以上、なんとか学費をこれまで通り自分で払い遂げたいという意地もある。
母は、子供の学費を夫に頼らないという選択をして複数の仕事を掛け持ちしたことが今回のように仕事や子育てで自分のカラダに無理をさせることになったのではないか? というけれど、そういう気もするし、そうでもないという気もする。
実際には仕事以外の不動産経営やサイト運営も新しいことへの挑戦と楽しみながら続けてきた部分もある。
決して誰かに強制されたわけではなく自分で情報を集めて自分で挑戦して来た。
共働きやシングルマザーで私のような選択をしている人すべてが癌になるわけでもない。
卵巣癌・子宮体癌と仕事復帰
癌になるとより不安定な就労形態へ以降せざるをえない人が多いというデータがある。
これを見たときに、悪夢のようなデータだなと思った。子供が産まれたときに時短勤務をするかどうかを迫られて、半ば強引に時短勤務になったときのをことを思い出した。
時短勤務にしようが仕事の責任は軽くはならないのに、給与と昇給立場だけは大幅に周囲から遅れを取り取返しのつかない溝が開く。
溝が開いてしまってからは、ほぼ溝が埋まることはない。
私はこれまで育休や産休をとる後輩たちに「絶対に時短はおすすめしない」言ってきたけれど、癌や介護などになっても、体力がもつのであれば、すぐに時短や退職、仕事の縮小というのはおそらく悪手だなと感じた。
まずは体力が許す範囲でなるべく早くもとの仕事に戻り、そこから様子を見ながら調整をしていこうと、手術と最初の抗がん剤直後の仕事復帰を決めた。
癌の職場復帰で勝手に? 実際に? 感じる職場での孤独
仕事復帰して最初に感じたのは「孤独」だな。ということ。
癌になってからの職場の孤独にはいろいろな粒度があって、「この人フルで働けない人だという思い込みでコミュニケーションをとられているな」という感覚や、「この人癌の人だから無理を言ったらいけないから仕事一緒にしたくない人と思われているんだろうな」という感覚。
手術前の10日前は、手術の検査受けながらギリギリまで仕事をつなぐ仲間だったのに、手術が終わったら自分がいろいろな意味で「癌で面倒な人」になっている感覚。
10日前の私と10日後の私は変わらないのになという気持ちなる。
これは勝手にセンシティブになっているだけのような気持ちもするし、そうではない気もする。
これまでの職場では、癌になっても働き続ける女性の先輩が多かった。
私の職場はどんなだろう? いける気もするし、退職を迫られる気もしている。
癌の職場復帰 家族のためなのに家族からは感謝されない現実
私には子供の学費のために働いている感覚はあるのだけれど、子供にはそういう感覚はない。
「ママ、癌になってもお仕事頑張ってくれてるんだな」という気持ちが垣間見れることでもあれば頑張れる気がするけれど、残念ながらそういうところはない。
子供たちは私が退院したら元通り。お手伝いも勉強もせず表現は悪いが怠惰に過ごしている。
癌になる前のときは「人生80年」という感覚が持てていたので、子供にはいつか親の愛が伝わったらいいなと思えたけれど、癌になるということはそういうのんびりとした時間軸は持てないということで、そこに辛さを感じる。
しかも、そういう風に育てたのが自分だという部分がなんとも言えないざらっとした感覚を生み出す。
ただ、一方で子供については、そばにいてくれるだけで生きる希望をくれる。
そもそも私が子供にこんなに頑張ってしまったのも、私のところに生まれてきてくれて、私の世界をこんなに幸せに変えてくれた。という感覚があって、だから子どもに頼まれてもいないのに気張ってしまってきた。という部分も大きい。
子供の成長やいい親でいるみたいなことを私自身が自分の「報酬」や「評価」のように感じてきたことも少しずつ変えていきたいと思う。
子供のことを考えると可能な限り前向きに生きたいって思うし、娘たちに頑張る姿しか見せていなくて、自分をメンテナンスしたり回避したり逃げたりする選択肢を見せられていないという後悔みたいなものも胸に浮かぶ。
癌の闘病日記は以下のマガジンにまとめています。
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