見出し画像

ヒヤリハット(ハインリッヒの法則)

今回は、保育園におけるヒヤリハットについてです。これは、特に保育士の皆さん、園長、主任クラスの役職者の方々に理解を深めていただきたい内容です。【保育士編】事例10

保育園では、日々の保育の中で危機管理、安全管理の観点より「ヒヤリハット報告書」を挙げ、職員会議等で検証し、改善を行うことにより安全な保育環境を維持努めています。

◆ヒヤリハットとは

保育中にヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状態のことを言い表します。そして、「ハインリッヒの法則」とは、労働災害の分野でよく知られている、事故の発生についての経験。 1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハットが隠れているというものです。

◆ヒヤリハットとインシデントとアクシデントの違いを理解する

医療の現場ではこの3つの視点が大きく違うように、保育の現場でも事故の内容は違いますが、カテゴリーとしてはほぼ同義の解釈を持っています。

ヒヤリハットは、『事故に至る可能性のあった出来事の「発見」』
・インシデントは、『子どもに実害が発生したが、障害の程度が軽微なもの』を判定する内容
・アクシデントは、『子どもに実害が発生したが、傷害の程度は高度※なものか」を判定する』内容
 ※高度なものとは、骨折や入院を必要とする怪我などを指します。

◆保育園での実情

保育園では子どもたちの日々の安全な保育環境、保育実践の観点を含めたヒヤリハットを報告書として上げています。同時に自治体の監査、立ち入り調査でも必ず確認される事項です。
そして、保育園では、最低でも月に1度はヒヤリハット、インシデント、アクシデントについて園内で内容を分析し、改善策や防止策、再発防止策を立てるミーティングが実施されています。

このように、ヒヤリハットは事故防止のために重要なチェック機能と危機管理能力の意識向上と意識維持のためにありますが、実情はいかに…。

正直これは、保育園によります。

上がってきているヒヤリハットを紐解くと、

・ヒヤリハット報告書を上げることが監査対応、事務的なものになっていることが多く、実際の保育士の意識向上につながっているかはやや疑問。
・保育中にヒヤリ、はっとしたことに遭遇したが、忙しくて報告書を上げるに至っていない。
・ヒヤリハット報告書を上げることにより、保育園のインシデント、アクシデントが激減した。

正直なところ、インシデント、アクシデントが少ない所は継続して危機管理意識が非常に高く、職員はヒヤリハットへの意識が高いのは言うまでもありません。

◆保育士の意識

保育士の皆さんは危機管理意識は持っています。しかしながら、その認識度合いの差に開きがあるのは否めません。

残念ですが、先にヒヤリハット、インシデント、アクシデントの違いを理解していない職員はかなりいます。

かといって、保育士はヒヤリハットやインシデント等を軽んじているかと言ったら決してそうではありません。
保育士は決して他人事とも思っていません。むしろ、怪我をさせないように現場の最前線で頑張っているのも事実です。

ただ、「危機感」と「危険予測能力」が足りないのです。

インシデント、アクシデントが起きた際に保育士が発する代表的なため息交じりの内容です。

・大丈夫だろう。
・まさか、手が滑るなんて。
・なんでそこから転落したの?
・どうしてそのタイミングで横向いて走っちゃったの?
・一瞬のすきに椅子に座って落ちちゃったの?
・さっきまで塗り絵してたのに、クー○ーを口の中にいれたの?

これは、管理職群である園長、主任クラスがしっかりと職員へ園内研修を実施しテクニカル技術の一環として伝えていかなければいけない内容です。

◆危険予測能力を高める

最も需要なのは子どもの発達を十分に把握して、「危険予測能力」を高めることです。

・ここにテーブルがあったら転倒した時に額をぶつけるかも。
・手洗い場が少し濡れてるから、もしかして子どもが滑って転倒するかも。
・この人が多い公園で鬼ごっこしたらぶつかるかも。
・順番で滑り台滑ってるけど、滑りたい子どもが多くて上で押し合いになるかも。
・テーブルにクレヨンを置いておくと誤飲するかも。
・テーブルにテープカッターを置いたままにしていて、子どもがテーブルに突っ込んできたら、カッターのところに顔面刺さってしまうかも。
・椅子取りゲームしてるけど、子どもの興奮状態を考えたら少し音楽のテンポが速いかも、、、等。

「安全ばかり考えたら子どもたちを伸び伸び遊ばせてあげられないじゃないですか!!」
と保育士に猛攻撃されたことがありますが、そんなことを言っているのではありません。

~かも。~かも。の予測は大切です。
最重要事項は、その先である、
「~かも。だから、○○していけば安全に楽しめるね!」
という柔軟な発想です。

◆まとめ

今回の内容は保育実践していくうえで、保育士の思考と環境設定や配慮、活動内容が「安全」という非常に重要な位置にある分類の中で交差する難しい内容です。

しかし、安全を確保したうえで、子どもたちが十分楽しめる環境を整える方法と工夫はあります。
所属している園の形態や環境があるので、園長・主任・クラス担任同士でよく話し合って糸口を見つけていきましょう。

保育士の皆さん、頑張ってください。
怪我や事故を怖がることなく、伸び伸びと柔軟な思考のもと、保育していきましょう!!
応援しています☆


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?