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子育て支援情報〜母乳育児について〜

今回は母乳育児について触れてみたいと思います。
母乳がミルクよりも優れていることはだいぶ前から言われてきています。
それもあってか昨今、母乳育児への関心も高まっています。
そして、母乳育児については様々な情報や考えに溢れていて、困惑されてしまうママも多いかと思います。
しかし、ミルク(人工乳)が悪いというものでは決してなく、様々なライフスタイルやママ・赤ちゃんの体調などもありますので、母乳とミルクをうまく活用していければ良いのではないかと思います😊

母乳の利点

では、なぜ母乳育児が良いとされているのでしょうか?
各機関が勧告している内容を見てみましょう!

<アメリカ小児科学会の勧告>
・母乳は先進国でも大きなメリットがあり、多数の急性、慢性疾患のリスクを著しく減少させる。
・母乳育児の期間に制限はなく、2年以上の母乳育児が心理学的、発達学的に有害であるという証拠はない。
・完全母乳の方が栄養学的、免疫学的、発達学的に優れている。
・母乳育児の効果は量ー反応関係を示し、母子ともに認められる。

<WHO/UNICEFの勧告>
・生後6ヶ月間(母乳だけで育つ期間)は母乳だけで育てる。
・2歳以上になっても適切な補完食と共に母乳を続ける。

などとしています。これらの機関が勧告している理由は、免疫の獲得、疫学的調査によるもののようですね。

母乳が赤ちゃんやママに及ぼす影響

赤ちゃんの免疫の獲得
母乳には赤ちゃんを感染症から守ってくれる免疫成分が含まれています。それによって以下のような病気の発症頻度や重症度を減らすと言われています。(*絶対にならないという訳ではありません)
・発症頻度や重症度を減らす強い根拠がある病気
 細菌性髄膜炎、菌血症、下痢症、気道感染症、壊死性腸炎、中耳炎、尿路感染症、早産きの遅発性敗血症などの感染症など
・発症頻度を減らすことは示されている病気
 乳幼児突然死症候群、糖尿病、リンパ腫、白血病、ホジキン腫瘍、過体重・肥満、高コレステロール血症、喘息など
これらの病気については、特に尿路感染については人工乳のみの場合、母乳に比べて発症頻度が5倍ほどになると言われています。また、13週を超えると消化器系の病気は7歳頃まで、中耳炎は3歳頃まで、気道感染については1歳頃まで効果が残ると言われていて、各機関の勧告にあるように母乳育児期間が長い程有効とされています。さらに、母乳育児を中止した後も、ワクチン抗原に対する反応を高めると言われています。
・他にも、認知能力の発達、病院で治療をしていたりすれば新生児の踵採血時の痛みの緩和に影響があるとされています。
・初乳から成乳へと変化していく分娩後の母乳成分の変化は新生児の哺乳量と関係していると言われていて、低出生体重児を出産したママから分泌される母乳は在胎週数に応じて栄養素の含有量が少なくなっていき、乳児の生理機能などに応じて成分が変化する、ある意味その赤ちゃんにとってオーダーメイドのようなものになっています。

ママに及ぼす利点
出産直後の影響
・子宮収縮の促進(乳頭を吸啜される刺激によってオキシトシンが分泌される)
・ホルモンの変化が母親の育児行動を促す(プロラクチンによる乳汁の産生とオキシトシンによる射乳反射の促進)
・母と子の絆の形成の促進
中期的の影響
・体重の減少(授乳により500kcal程消費する)
長期的な影響
・乳がんのリスクの減少(エストロゲンの分泌抑制による)
・卵巣癌、子宮体癌のリスクの減少                など

母乳の欠点
 もともと母乳は完璧な栄養という訳ではなく、厚生労働省の基準では、一般的にビタミンD、ビタミンK、鉄分などが不足しているとされています。
これらは、日光浴によるビタミンDの産生や離乳食が始まると他の食材から自然と補うことができます。
過度に紫外線を避けるなどするとビタミンDの産生が少なくなって”くる病”になってしまうことも最近見かけることがあるので、適度に日光浴もさせてあげるといいかもしれないですね!


参考文献 河井昌彦:NICUナースのための必修知識 改訂3版
     赤塚ら:子どもの食と栄養 健やかに発育する食生活をめざして
     その他勉強会資料

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