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病気の子どものきょうだい支援⑤

では、きょうだい支援シリーズ第5段です。
病気の子どものきょうだいが抱き得る、抱いている心情として紹介していますが、感情や心情の捉え方やその思いに対する対応について考えるきっかけにもなるかと思うので、きょうだいに限らず、そういった視点でもみていただけるといいと思います😊

きょうだいが抱き得る・抱いている心情の例
(参照 雑誌:小児看護 新家、2020)
例)・不安、恐怖、神経質、同一視
  ・寂しさ、孤立、疎外感、喪失感
  ・困惑、恥ずかしさ
  ・怒り、憤り、恨み、嫉妬
  ・自責の念、罪悪感
  ・責任に伴う過剰な負担感、不自由
  ・完璧への圧力
  ・諦めや不全感、不信感
  ・悲しみ、無力感
  ・自己肯定感の低下、自尊心の脅かし
  ・レジリエンシー

次は困惑、恥ずかしさについてです。

困惑、恥ずかしさ

こういった感情は、病気の兄姉弟妹の病状や状態の変化や医療的処置により兄姉弟妹の様子がきょうだいの予想を超えるような状況で、きょうだいが困惑することによって生じやすいです。
例えば、病気や治療のために急に痩せてしまったり、太ったり、手術痕やカテーテルが挿入されている姿を見た時、喉頭気管分離術後や鎮静などによってこれまで話していた兄姉弟妹と話ができなくなった状況などが挙げられます。
また、病気や障がいなど、それまできょうだいにとっては自然であったことが、成長して行く過程で、友達と兄姉弟妹の違いに気付き、大切な兄姉弟妹を気にかけ困惑してしまうことがあるそうです。その一方で、友達に兄姉弟妹の存在や状態の変化を知られたくないと感じたり、兄姉弟妹と一緒にいる際に家族以外の人からの視線を感じて恥ずかしいと感じたり、兄姉弟妹の存在を煩わしく感じることがあるといった報告をしている研究もあります。両義的な思いがきょうだいの中で渦巻いていることが想像できます。

怒り、憤り、恨み、嫉妬

親の意識や時間が病気の兄姉弟妹に向かざるを得ない状況やそれによる扱いの差を感じたり、周囲の人が兄姉弟妹の体調を気にかける言動に、きょうだいは「いつも〇〇ばかりでずるい」や「いつも私(僕)じゃなくて〇〇のことばかり」と憤りや嫉妬、怒りといった感情を抱いていることがあります。自分も頑張っているのに、、とこういった感情を抱いてしまっても不思議はありませんよね。そして、こうした感情を抱いているきょうだいは誰にも打ち明けられずに、独りで困惑し、そのような感情を抱いている自分のことを責めてしまっていることもあります。他にも、病気の兄姉弟妹はいつもより食事が食べられると褒められることがある一方で、きょうだいは学校のテストで良い点数を取ったり、活躍したことを家族に話してもあまり褒めてもらえず、家族に自分を認めてもらえない感覚に嫉妬や憤りを感じることもあるといいます。こういった経験の積み重ねによって、嫉妬や憤りから無力感に変わっていくこともあるようです。
僕を見て!僕を認めて!僕も褒めて!そんな心の声が聞こえてきそうですね。兄姉弟妹が病気でなくても、こういった状況は起こり得ると思います。子ども一人ひとりと向き合って、その子の頑張っていることをみんなで称えてあげたいですね🌱

自責の念、罪悪感

「困惑、恥ずかしさ」「怒り、憤り、恨み、嫉妬」とリンクすることのある感情です。いつも病気の兄姉弟妹ばかりずるいと妬みや恨みの感情を抱いている自分を何てひどい人間なんだと責めてしまっていることもあります。また、「あの時、自分が叩いたから、〇〇の頭が病気になった」「喧嘩をしたから発作が悪くなった」など、自分が取った行動によって兄姉弟妹が病気になったり、症状が悪化したと捉えているきょうだいもいると言います。
自分が元気でいること、楽しいことがあること、学校などに行くことを申し訳なく感じ、躊躇してしまうこともあるそうです。さらに、進学や就職、結婚など、家族を離れていくことに罪悪感を感じて、自分の進路を諦めたり、意識的であったり無意識のうちに行動に制限をかけてしまい、悩むきょうだいもいるそうです。

人が成長していく過程で様々な感情や心情と対面しますが、きょうだいは比較的早い段階でこのような感情と向き合い、見えない敵やもう一人の自分と闘っています。病気と闘うママパパも余裕がないことがあると思うので、周囲の大人がきょうだいの思いに寄り添ってあげることができると、きょうだいも心強いのではないでしょうか😌

まだまだ続きます✨


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