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読書感想文「勉強するのは何のため?―僕らの「答え」のつくり方―」 苫野一徳著


 
なんか学校行きたくないなあ。

適当な理由をつけて学校を休み、お客さんが帰った後、温泉に一人ぷかぷか浸かる。(実家が旅館なので)
朝日がさんさんと降り注いて気持ちがいい。
狭い教室と、よく分からない勉強から解放される。
ああ、ここには私一人だけ。ずーっとのんびり浮かんでいたい。

でも…

このまま学校行かなかったらやばいよなあ。こんなところで躓くわけにはいかんなあ。
そんな不安がちらっとよぎる。
 
でもやばいって何がやばいんだろう。
この学校生活、勉強はなんのため?
受験かなあ。受験のために3年も費やすってこと?
いやいや、学生生活自体にも意味はあるだろう。ダンケツリョクを養うとか。
でも息苦しいときもあるんだよなあ。
ああ、なんかよくわからない。
 
いろんな問いがぷくぷく生まれる。
それでも不安は疑問を上回り、答えは出ないまま、また次の日から背中を丸めて学校生活に帰っていった。
 
この本を読んで思い出した、中学時代の後ろめたくてモヤモヤした記憶。
 
勉強する理由なんて人それぞれだよね。
今勉強していることは高校の勉強にもつながるし必要だよ。
ぐらいは言われた気がするけど、それってなんか無責任な答えだなと当時思ったものだ。
 
この本では、そんな長年のモヤモヤにAnswerをもらった気がした。
「何のために勉強するのか」という問いに対して
哲学者であり、教育学者でもある筆者が哲学的な思考方法で丁寧に掘り下げていく。
そこで行き着いた、みんなが納得できるだろう答え。
そしてどう考えていけば、難しい問題に対して答えを出すことができるのかというプロセスは、心にストンと落ちるものがあった。

そうか、こうやって考えるのか。
 
ドラえもんのタイムマシンがあったら、中学生の自分に、「ほらよっ!」と手渡してあげたい一冊だった。
 

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