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【読書感想文】「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(ブレイディみかこ著)

「先生!多様性って何ですか?」
「えーと、『ある集団の中に異なる特徴・特性を持つ人がともに存在すること』です。これ覚えてねー。大事な言葉だからテストに出すよう。」

-ある教室での一コマー

この小説のテーマとも言える「多様性」という言葉。私がこの言葉を使うときってこんなイメージでした。
実感を伴わない、教科書の中に出てくる重要単語。
自分の住んでいる世界には関係ないなという感じ。

この本を読むと、そんなことをぼんやり思っていた無知無知で鈍感な自分に喝!を入れたくなります。
もっと考えろ!想像しろ!!自分!!!

作中「ぼく」が、様々なバックグラウンドを持つ友達と関わる中で見せる、真摯でまっすぐな姿勢に心打たれます。
本当にこんな息子いるんだなあ。尊い。
作者である「母ちゃん」と「ぼく」の親子関係もすてき。

「ぼく」の根底にあるのは、きっと分かり合いたい、もっと仲良くなりたいというまっすぐな思い。

『愛の反対は憎しみではない。無関心だ』と言っていたのは、確かマザー・テレサだったような。

分からないことも理解できないこともあるけれど、まずは知ること。無関心にならないこと。
自分事として引き寄せて、もっと分かり合うためにはどうしたらいい?と考え続ける。そのことの大切さを教えてくれた1冊でした。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ 著
人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧、まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、みんなぼくの大切な友達なんだー。
ぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。

新潮文庫より

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