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第22回 マンション防災を考えよう

管理組合の防災活動8(防災訓練2)

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
前回からマンションにおける防災訓練について考えています。今回は、防災訓練の流れなどについて考えていきます。

マンションでは消防法で義務付けられている消防訓練があり、その訓練の項目は「通報」「避難」「消火」ですが、前回のお話しの通りそれだけでは「災害」を想定した防災訓練にはなりません。
ここで、防災に関して考えられる主な訓練の項目を挙げてみましょう。
・災害対策本部設置 ・安否確認 ・救助/応急手当 ・応急修理 ・水害対策初動
・被害確認 ・情報収集 ・居住者連絡 ・避難所連携 など
当然のことながら、火災に対応することだけではない項目を考えなければいけません。
この項目の中で、訓練ごとに中心となる項目を決定し、シナリオを作成、実践、反省を行います。

訓練計画作成の流れとしては、管理組合、防災委員会、自主防災組織、自治会など災害時に中心となる組織が、「火災・地震・水害」などの災害と規模の想定をし、その災害による行動を考え、その行動を実際にしてみるというような形です。
一般的に防災訓練として行っているものの多くは「災害時の居住者の行動の知識を得る」内容になっているものが多く、組織としての行動が中心になっているものは少ないように感じます。
大規模マンションでシナリオまで作成した上で行っているところを知っていますが、かなり良くできて実際の災害時にも役立つだろうなと思えます。

シナリオは、災害と規模により「マンション内/マンション外の居住者」の状況、環境がどうなるかを想像し、マンション内でのけが人や外国人、妊婦など様々な居住者を想定して、安否確認~救助・手当~被災生活までの中でシナリオを作成します。

例えば、○月○日○曜日(季節と曜日設定)、○時○分(時間帯設定)、震源地○(海溝型か断層型か)震度○の地震が発生、マンション○階の○号室でけが人が発生、マンションの○○が破損した被害が発生、などを決めていきます。
そして、災害対策本部設置から本部長決定、その他係を決めて行動、安否確認の集計から
各被害等への対応までを実行するといった形です。

訓練後には、計画通りに行ったかどうかではなく、想定した以上の被害や、その他の状況が発生した場合にはどうするかなどを話し合い、マンション内の防災計画にさらに肉付けして充実したものにしていきます。

このようにして訓練、改善を繰り返し、実際の災害時に具体的に動けるようなものにしていくのです。
そして、さらに重要なのは、その訓練にできるだけ多くの居住者が参加して、様々な係を経験し、管理組合や自主防災組織などのメンバー(防災を少しでも知っている人)以外の人でも動けるようにしておくことが大変重要です。

居住者の参加を促す方法については、防災意識の維持向上のところで考えましたが、また訓練参加という観点で別途、考えていきたいと思います。

今回はここまでです。次回は、災害時の情報・通信について考えていきます。なぜそのことを特別に考える必要があるのかというと、災害時に関わらずすべての行動は「情報」を基に判断をするもので、特に災害時にはその情報を入手することに特別な対策が必要だからです。

今回もお読みいただきありがとうございました。また次回以降もご覧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長 城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングのご依頼をおまちしております。よろしくお願い申し上げます。

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