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刀剣乱舞ミュージカルの感想メモ

すんごく前の下書きメモがテキストエディタから発掘されたので。

刀剣乱舞をプレイしていると言ったらTwitterのフォロワーからミュージカルをすすめられ、さらに上手い事よい機会に恵まれ、刀剣乱舞関連作品の映像を色々見ることができた。

すげえな……物理世界にこんな美しい人類いるんだ……あっこれ映画版を見た時にも言ったわ……。俳優さんの動作の一つ一つ、殺陣の一閃ごとに存在感があって、ゲームのキャラに対する漠然としたイメージに現実的な質量が与えられたみたいだった。

以下、とりあえずミュージカルのみ、見た順に。

歌合 乱舞狂乱 2019

はじめての2.5。なんか何もかもが光ってる……どゆこと……?

開始から「あるじさんたち(観客)」にものすごくアピールしてくる。「絡繰りの前のあるじさんたち(PCなどで配信を見ている観客)」向けにもちゃんと挨拶がある。分かたれているはずの観客と演者の境界を力技で曖昧にしていく感じ。なるほど、2と3の間かもしんない。

内容は出演者大集合&新メンバーお披露目の、短編集&歌って踊るコンサートみたいなやつだった。最初から最後までなんか……すごい光ってた。まぶしい。なんか刀剣男士の皆さんもまぶしい。ずっと見てたら脳のどこかが灼けると思う。ジュッ、って。

好きな話はこんぺいとうがゲシュタルト崩壊する蜻蛉切の話と、にっかり青江が雨月物語の一遍を語るやつ。あと狐面を被った御手杵が怖いやつ。あれすごかった(御手杵役の俳優さんが手足の長い、長身の人だからなおさらすごみがあった)。

ところで今剣……あれは自分がかわいいと解っている奴の仕草だぜ……油断できないぜ……。

ミュージカル つはものどもがゆめのあと

「阿津嘉賀志山異聞」を見ていないけど、なにがあったか漠然と推測できる感じになっててよかった。膝丸&髭切と今剣のデリケートな問題を含んだ部隊編成と、三日月の任務を越えた暗躍がお話のキー。

三日月の、飄々としたじじいとしての振る舞いと、頼朝と泰衡に義経を討てと迫る姿のギャップが印象に残った。頼朝も泰衡も義経の死を望んでいないのに「義経を殺さなければならぬ」という説得に耳を傾けざるを得ないという演出で、人間が知覚できる時間の限界を超越しているものの怖さみたいなものがあったと思う。でも頼朝も泰衡もイメージダウンさせないストーリーで好感が持てた(頼朝は弟に冷たく、泰衡は弱腰、みたいなイメージがあるじゃん……?)。

義経が生き延びることになったのは「無い刀(今剣)では自害できない」ということなのかしら。冒頭から今剣のなかで自身の存在は揺らいでいて、それが最後には真実を受け止めるために旅に出るという形でまとまったのも、未来への意思や希望を感じさせてよかった。

今剣は……あいつ油断したらキュンッってなるやつだぜ……あぶねえぜ……。

厳島神社

きらびやかな歌と踊りの数時間。厳かな舞台に白い衣装で出てくる刀剣男士たちの美しさ。

衣装の形も色も変わってしまっているのに、視界に入った瞬間のイメージを損なわない(見た瞬間にどのキャラクターかわかる)の、俳優さんも衣装やメイクの人もすごいんだな……ということがわかってきた。

聞いたことがある曲(前に見た演目で使われた曲)が出てくるとその場面を思い出してちょっと嬉しくなった。新選組関連の演目を悉く見逃したのが悔やまれる。

あと今剣が飛んだり跳ねたりで、なんというか、小さい天狗だった。やべえな、かわいいぞ。

ミュージカル 三百年の子守唄

刀剣男士たちが人の一生に付き合う、スケールのでかい話。無茶な任務のようにも聞こえるけれど、愛用された(この話では「されるはず」だった?)モノが人を見守るという点ではもしかしたら自然なことなのかもしれない。

大倶利伽羅と吾平の出会いと別れ、村正の途中参戦、石切丸と信康の顛末、そういったエピソードを通じて、刀剣男士たちがひとりの人間を育てるうちにその内面に起こった心境の変化や情が描かれる。

人間が生きている間に起こる様々なことを刀剣男士の面々がともに体験していくことで、刀たちが人に寄り添って守るモノとしての本分を発揮する、という話でもあったように思う。

最後、臨終の床にある家康への物吉の仕草や口調は幼子に対する親のようだった。彼らは以後三百年続く太平の世を家康とともに育てた親でもあったのだろう。

ミュージカル 葵咲本紀

「三百年の子守唄」のサイドストーリー的な、徳川の後継者たちを巡る話。

村正がとても信康のことを気に入っていたと蜻蛉切に語る場面があり、「三百年の~」で見守る立場から一転、家康の配下に参戦した変化のきっかけはここにあったのかなと思った。「通りすがりの裸のおじさん」、優しいな。

貞愛や信康といった歴史の表舞台から消えていった者たちに、憐みや恨みを見出したのは他者――たとえば秀康や、彼に取り憑いた刀など、あとに遺されたものたちだった。

己を焼いた炎の白昼夢を見る御手杵や、「憐れむな、おれは元気に生きている」と強調する貞愛の心の内に恨みや悲しみがあったかはわからないけれど、御手杵と貞愛は最終的にとてもいいコンビだった。いいコンビといえば蜻蛉切と御手杵の戦闘アクションもよかったな……。槍はよいものだ……。

「三百年の~」もそうだったけど、刀剣男士たちが派遣された時代の人たちとの出会いとか、協力者の登場とか、刀剣男士たちが孤立無援の戦いをしているのではない、というところがとても楽しかったと思う。


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