マガジンのカバー画像

山伏の祖父から聞いた話

7
山伏の祖父が体験した不思議な話を綴っています。更新は不定期です。
運営しているクリエイター

記事一覧

裏山の石碑

裏山の石碑

祖父から聞いた話。

祖父の生家(以降、「本家」とする。)の裏山には城跡があったと伝えられている。

城跡といっても特に史跡として指定を受けている訳ではなく、言い伝えとして残る城跡で特段の遺構もなく、強いて言えば土塁のようなものがわずかにある程度だそう。

祖父は幼い頃から裏山には登るなと曽祖父や高祖父から聞かされていたが、毎年お盆になると高祖父が神職の正装をしてその裏山に登る姿を目にしていた。

もっとみる
月山にて

月山にて

祖父は1人で深夜に山に入る。
怖くないのか聞いたことがあるが、「怖い目にはたくさんあってるけど、自分の行だから」と笑っている。

そんな祖父が、8月の月山で体験した話。

月山は、山形県にある海抜1,984m、世界でも珍しい半円形の火山で、頂上に月山神社があり、月読命を祀っている。
また、月山は、羽黒山・湯殿山とともに出羽三山を構成しており、古くから山岳信仰の地として信仰を集めている。

お盆の月

もっとみる

高祖父

祖父から聞いた話。

高祖父(祖父の祖父)が死んだ日のこと。
我が家は玄関を入ると正面に茶の間があり、そこそこ大きめの神棚を祀っている。高祖父の最期が近いということで病院に行っていた祖父と父が一旦帰宅して茶の間に入ると、神棚にお供えしていた榊の葉がいっせいに散った。

そのとき祖父は、高祖父が亡くなったと直感した。
それと同時に電話がなり、高祖父が亡くなったと報せがきたという。

後日、高祖父の葬

もっとみる
林道にて

林道にて

祖父から聞いた話。

2011年3月11日、東日本大震災が発生した。私の祖父が住む町も、東日本大震災で甚大な被害を受けた地域だった。

震災から1ヶ月ほど経ったある日、祖父は友人のSさんと2人で、隣町に住む友人のNさんの家を訪れていた。
隣町といっても、Nさんが住んでいるのは車で40分はかかる場所で、いつも通る道は震災による津波で寸断されており、B山にある林道を通ってNさんの家を訪れていた。
その

もっとみる

家系にまつわる言い伝え

祖父から聞いた話。

私が小さい頃から、祖父は我が家に関する色々なことを話してくれた。

その中でも、自分の家にまつわる話で口癖のように祖父が話してくれるのが、「家系は江戸時代の飢饉で何度か途絶えそうになったことがあり、その度に遠い親戚、あるいは山伏として修行に出ていてたまたま無事だった人が戻ってきて、家を繋げてきた」という話。

この言い伝えの真偽の程は不明だったが、祖父も幼少の頃に高祖父から教

もっとみる
仏壇の鏡

仏壇の鏡

祖父がまだ若い頃の話。

祖父の実家は神職の家系で神葬祭だったため、家の仏壇には鏡が置かれていた。

ある日、祖父が交通事故にあい、出血多量で生死の境を彷徨うも無事に一命をとりとめることができた。

退院後、祖父は母(私の曾祖母)から、事故にあった時刻と同じくらいの時間に、「仏壇からすごい音がして、見てみると鏡が割れていた。鏡が身代わりになってくれたんだ。」という話をされたという。

「出血多量に

もっとみる
月山と母方本家の当主

月山と母方本家の当主

私の母方の家系は古い家柄で、両親が結婚する際も、本家の承認なしには結婚できなかったという。

母の実家が本家から分家したのは母の祖父の代だそうだが、母が生まれるまでは生まれた子の名前も本家で決める習わしだったそうだ。

両親が結婚する頃の母方本家の当主は、集落の出羽三山講の代表を務めており、山伏だった祖父と意気投合し、この当主が積極的に両家の仲を取り持ってくれたおかげで、両親の結婚が円滑に進んだと

もっとみる