根本きこ

沖縄北部、今帰仁村で「波羅蜜(パラミツ)」という飲食店を営んでおります。パラミツとは、…

根本きこ

沖縄北部、今帰仁村で「波羅蜜(パラミツ)」という飲食店を営んでおります。パラミツとは、沖縄の言葉でジャックフルーツを指します。 営業日は金、土、日、月 11:30ー15:30(L.O) https://www.instagram.com/paramitaplate/

最近の記事

「かのちゃんのこと」

彼女とは、よなよな話し込んだものです。 馴染みの面子で、たわいもないことやすごく刺さること、違和感や噂話、喫緊の推し。「それって量子力学?」って確かめながら、波動とかエネルギーの話し。占星術やタロット。子どものことから個々の生い立ち。 で、彼女はゆんたくが深夜に及んでもかならず帰るのでした。ここから1時間以上もかかるのに、「泊まってけば?」と促しても「だいじょーぶ」と、下戸の彼女は夜中でもしゃっきりして、足取り軽く。 甘えがなくって、ものすごく自立してて、つくづく立派な

    • 「よろしく遺伝子」

      肉体は所詮いれものよ、と言ってはみても、ね。 このなかにたましいはないのだと、まじまじと亡きがらを覗き込む。 きっと彼女は今頃この辺りに居るよね、ってキョロキョロしてみる。 が、見えない。わたしには未だ見えない。そーゆーもんだけど、彼女はわたしの可視領域を超えたところに居る。 遺影写真に目をやる。何年前の写真かなー、随分と若いの使われてるよ!って写真に向かって話す。 これからはメールをしても返ってこない。そーゆーもんだけど、とてつもなく寂しくて、顔の真ん中が熱くなる。涙が出る

      • 「整うための手はず」

        子に恩を感じている。 なまじ子どもの存在がなかったら、今頃は自家毒でどうにかなっていたやも知れん。これ、たまに思うことで、「ありがとうございます」案件である。 かつては、子どもなど想定の外の外の外で、年頃の娘さんが「子どもはふたりは欲しい」とか言うものなら、「ふーん」と聞き流しつつも内心は、こちとらそんなんいたら自由に旅行なんかできっこないし、そもそも仕事どうすんの?いやいや無理って、そんな態度だった。 とき同じして、謎にやってくる自己不信感の波にまま打ちひしがれては、

        • 「話題の映画と水瓶座」

          浦添PARCOで、上映しているのです。 当初、「観る人いるのかな」と訝しんでいたけど、それはほんっとうに余計な杞憂で、かなり席は埋まっていました。 みんなどデカいポップコーンの箱を抱えて。よって館内はどこはかとなくキャラメルポップコーンの匂い。 この映画、本国アメリカでは「インディジョーンズと運命のダイヤル」を抑えて、2023年の興行収入第1位。 でも実は、2018年にクランクアップしたのにお蔵入り。(クラファンではなんと7000人が制作を支援。エンドロールで全員の名前が

        「かのちゃんのこと」

          「東京回想」

          オオシマゼミの鳴く声は、高江の森を思い出す。 四方八方、キュイーンキュイーンと規則性を持って響くせいか、目をつむるとあちらの世界に連れ去られそうになる。 たぶん、UFO的な音なんじゃないか、と。 初めて聞いた人はそれがまさか蝉だとは思わずに、「この電子音なんですか?」と怪訝そうな顔をする。この蝉、内地にはいないけどジャマイカにはいるそうです。 連休明けて今日、店で出している「きょうのひと皿」(ワンプレート定食)をおかわりしてくださった方がいた。すっごく稀有、嬉しい! 「だっ

          「東京回想」

          「北海道、東川」

          「北の住まい設計社」さんで、自著(『カレー、ときどき水餃子』)の重版記念イベントをさせていただきました。 盟友でもあるcahatのお誘いなので、たのしいに違いありません。 カレー本の編集者、赤澤かおりさんも同行となれば、当イベントのタイトルは「どうにかなるさ」に決定。 だって、ほとんど未踏の地である北海道です。 寒さにめっぽう弱いですとか、いつか鮭の遡上を見たいですとか、熊とか北狐とかモロコシじゃがいも、すなわちぜんぜん知らなんだ。 旭川空港からレンタカーに乗って、望む風

          「北海道、東川」

          「おもむくまま4 おもに娘っ子たち」

          一方的な不機嫌をぶつけられて、「はあ?」と般若顔(てか、ひょっとこ顔かも)になりつつも、でもこの不機嫌行動は彼女の成長過程に必要不可欠なことだと知っているのです。 だって、彼女のホロスコープをみれば一目瞭然である。 「なんだかよくわかんないけどーーーーイライラするしモヤモヤするーーーー」は、彼女の星の配置のお家芸。 おまけに不機嫌の矢印(火星)を向ける相手はしっかりと吟味されており、そのチョイス「母」(月)はまったくのビンゴである。オポジションだからね! だからわたしは瞬間的

          「おもむくまま4 おもに娘っ子たち」

          「きつねに試される」

          三日過ぎると、「そんなこともあったなぁ」って、やさしく流せる自分がいる。 そのときは、「うぎゃー!」って叫んで泣けるくらいにショックだったのに、もう全然だいじょうぶ。 というのは三日前、午後に油揚げが届いたのです。とうとう稲荷寿司を拵えようと、わざわざ京都から取り寄せたのでした。 お揚げを煮るのはしょっちゅうだけど、「お稲荷さん」ってほとんど作らない。でも、どーゆーわけか「作らなきゃ」って思い立って。 届いた油揚げは、ふくよかで厚みがあって、美味しい菜種油で揚げてあるから

          「きつねに試される」

          「おもむくまま3」

          数年前に植えたカレーリーフの苗が、3メートル超えの木になった。 カレーリーフの葉の香りは南インド料理には欠かせない。 油でテンパリングすれば、弾ける匂いが食欲をたちまち刺激する。 うちに来たときは10cm足らずだったのになぁ。こーんなに大きくなって。 今年は黒紫色の実がたわわで、「植えたら芽が出るよ」と、みんなにお裾分け出来た。(ついさっき、「芽が出ました!」という報告有り。うれしい) カレーリーフの根元には、ジャスミンがどんどん蔓を伸ばしている。年に何回も花を咲かして

          「おもむくまま3」

          「ムシャーマ」

          ふたつ返事で波照間行きを決めたのは、「波照間」と「波羅蜜」の字面がなんとなく似ていたせいであるが、いちばんの理由は、市子ちゃんが「ムシャーマ」で三線を弾くというから。 そのためにいっぱい練習をして幾度も島に通った。その熱意の先に興味が湧いた。 そしてもうひとり、波照間に魅せられた絵描きの祐基くんとの再会も果たせそう。 「ムシャーマ」とは、いちねんに一度の島をあげてのお祭り。 豊作と豊漁を願って、その日ばかりは全島民が行事に参加するのでなにもかもが休みになる。 宿すら休業する

          「ムシャーマ」

          「不思議だけど、そういうものだ。」

          てなことで、ある日の夢(眠ったときに見る方)のはなしです。 とはいえ、他人の夢のはなしって盛り上がりに欠けると思いますが、以前、「昨夜、豹だか虎だかの模様のでかい犬の夢を見た!」と友人に話したら、「え!わたしも昨夜見た!」と、お互いディテールを伝え合ったらかなり近い、いやほとんど同じ犬だったことがあるので、ここに夢のはなしを書くことに淡い期待をしています。笑 夢から。 知らない声がわたしを諭す。 「暮らしの中で大切なのはねぇ、まずは土星なの。で、次に太陽、金星の順なのよ」

          「不思議だけど、そういうものだ。」

          「手相と惑星」

          2年に渡って受講してきた手相の講座は、来たる10月で満期を迎える。 上下2冊のテキストには書き込みがぎっしり。ではあるが、実際に覚えていることや印象に残っていることは、そのなかのほんの一部でしかない。 手相の基本線4本と、補助線が数本、細かい線は無数に及ぶ。が、細かい線に至ってはよほど目立たない限り深入りはしない。いや、目立つというか、目に飛び込んできた場合。 そんな線だけではなく、手や指の形状、手の出し方、手のひらの血色も観る。 手相を本格的に学ぼうと思ったきっかけは

          「手相と惑星」

          「空飛ぶサマーベッド、他」

          ここだけの話、夏はサマーベッドで寝ている。 ホームセンターで3000円くらいで買ったと思う。 季節になると引っ張り出してもう8年くらい経つから、全体を支えるワイヤー紐はやれてるし、片方にちょっと重さをかければ背もたれがバイーン!と跳ね上がるし。 この夏はとくに布団のマットレスが暑いのなんの。熱帯夜率高し。 サマーベッドはメッシュ素材が背中に涼しく、ぎこちないながらも3段階に角度が調整できる。 寝心地だって「寝台車」と思えばさほど気にならず、うちには2台のサマーベッドがある

          「空飛ぶサマーベッド、他」

          「銀座にて」

          羽田に着いてからは、しっかり頭に叩き込んだ電車の乗り換えミッション遂行、最終目的地の地下鉄有楽町線「新富町」を降りて、「こっちかな〜」と適当に歩き出したはいいが、完全に迷ってしまった。 方向音痴なのに、つい「勘」を発動させてしまうのは、たんなる面倒くさがりなんだろう。 時刻は22時過ぎ。それでも人が歩いている都会でよかった! 会社帰りっぽいOLさんに道を尋ねると、すこぶる親切にスマホをバックから取り出して調べてくれた。 「あっちの方向ですかね〜?」と、ビルとビルの合間を指

          「銀座にて」

          「長女の誕生日」

          太陽が獅子座に入座する少し前、ぎりぎり蟹座で生まれた長女が16歳を迎えた。 夕方、行きつけの海にみんなで入りながらわたしはふと、「いったい誰が、この日をこの地で迎えるということを知り得るんだろう」と、途方もない気持ちになった。 自分で決めている一方、実はなーんにも決めてない気もするからそんなふうに思う。 一万人に満たないこの村。おまけに地図で見れば沖縄はひときわ小さいし、車を走らせるとすぐに「果て」に辿り着いてしまうけど、この海はどこまでも広大である。だから、「狭いな」って

          「長女の誕生日」

          「10惑星ミールス」

          (写真は関係ありません) 夕方の便で沖縄に帰ってきた。 どどどどっグィーンって、飛行機の機体がいつもよりも大きく感じられたのは(ジャンボじゃないのに)、たぶん1週間の旅でわたしがちいさくなったからだろう。 概ね旅で起こること、見ること聞くこと逐一に、「なにそれなにそれ」とざわめき立つから、結果しっかりと消耗する。もちろんそれを、「たのしさ」と呼ぶのだけれども。 「飛行機に乗れば那覇だー」と思ったら、たちまち安心して飛んだそばから寝てしまった。 で、到着。 ゲートをくぐればた

          「10惑星ミールス」