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ネーミングセンス

普通の人にはネーミングセンスのような能力が問われる機会は少ないもので、いつも一緒にいる友達とのグループに名前を付けよう、となった場合は何とかボーイズとか適当に付けておけば良いが、なにか創作に打ち込んでいてアウトプットを世に出したい希望がある人の場合は、アウトプットに名前を付けるセンスが問われる。

世間にはコピーライターという職業に従事する方がいて、本来であれば世間に出すものにはそういうプロがその世間に出すものを仔細に分析し、その上で、その背景、世間に出す狙い、なおかつマスにウケるとかターゲットに刺さるとかを考えながら、これぞ!という名前を付けるものだ。

だが、プロ渾身のアイディアと言えど必ずしも世間の関心を買える、というわけではなく、むしろその道のプロ、その道の利害関係や複雑な事情に慣れきって疲れてしまったプロが考えたからこそ、こぢんまりまとまったり、毒にも薬にもならん鋭さを欠いたネーミングになってしまう場合もある。

そういう例を鑑みるに、時にミュージシャンが付けるグループ名や曲名が、どんなプロのコピーよりも世間に大きなインパクトを与えるのも必然かも知れない。

なんとなれば、彼らは彼ら自身がなんであるか、自身のアウトプットをどう捉えて欲しいか、といったことを全体重を乗っけて、全熱量をかけて世間にぶつけ、そのリアクションを問うているのだ。


"ミスターチルドレン"という、バンド名を知っている人も多いだろう。いや、日本人でその名を知らない人の方が少ないかもしれない。

ミスチルとて、デビュー前にバンドを組んだ時は、音楽に関してのみならず、ネーミングに関してもズブの素人だったはずである。しかしながら、ミスターチルドレンという名前は、日本人が全員知っているレベルで有名なのだ。
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一方、"天才バカボン"というアニメを知らない人も少ないだろう。はっきり申し上げて愚にもつかぬようなネーミングだが、ミスチルに負けず劣らず有名な名前だ。

この2つの、いまや巨大な意味や価値を内包するネーミングから伺い知れることがある。

それは、二つの対立する概念を組み合わせて一つのインパクトあるフレーズを生み出している点である。

ミスターというのは、通常成人男性のラストネームかフルネームに付ける名詞だが、これを子供達という対になる概念とくっつけ、大人の混沌と子供の無垢のないまぜな様子を表現している。

天才バカボンは言わずもがな、バカな発想は時に天才的ですらあるということをストレートに表現している。

どちらか一つでは何のことない、フックのない単語でも、対になる言葉をくっつければ絶大な意味と価値を獲得できる可能性があるのだ。

では、本日の写真にある、バー"ミッドナイトサン"はなにを訴えているか。

通常、夜の時間にしか開かない、暗いバーという場所で、太陽のように燃え盛る時間を獲得しよう、そんな時間を過ごそう。

そんな、粋なメッセージを自分は受け取った。

自分は所用でこのホテルに宿泊した際、温泉の後、暗闇の中で光り輝く時間を獲得すべく、ミッドナイトサンに向かった。

バーは、20時で閉店していた。
どこがミッドナイトなのか。

このロクでもなくやはりロクでもない世界の目を瞑ってはいけない部分を目を見開いて見た結果を記してゆきます。