【千年とハッ】稽古場レポート③河野咲子(作家)
「千年とハッ」稽古の見学中、えもいわれぬ声が聞こえた。
ひそかに驚いて、肩がぴくりと動いてしまう。さほど大きくはない、優しいといってもよいほどの声なのに、それはわたしのからだをひとときばかり脅かすような気がした。脅かされたと思ったのはほんとうに一瞬のことで、慣れてしまえばむしろ慕わしいような声だった。
「人間の鳴き声」の呼び交わされるシーンがあり、自分は偶然そのシーンの稽古に居合わせているらしいということを、わたしはしだいに理解してゆく。11月22日火曜日、公演本番まで