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【千年とハッ】上演テキスト一部公開

『千年とハッ』の1シーンは、「二人が井之頭公園を歩いたとある日」の記録をもとに作られました。今回は、田上さんがその場で体験した「見て呼ぶ」の記録を、一部だけ公開します。

白鳥の後ろ姿
こちらへ向かって泳ぐ鳥が一羽
手前に鴨 奥に嘘の白鳥の群れ
アー
アフアフアフ、

何かを包んだシートの上に
落ちる雨粒の音は強い
アー、アー
ふ〜ん〜

車輪の跡がたくさん残った土の表面
さっきも走っていった若い男たち もう一度
来る 4人の足音
蜘蛛の巣の糸でぶら下がって揺れている
葉っぱが一枚 落ちていく
カルディの紙袋を持ったおじさん
アー じ〜!ふ〜
あー、はー、ああ
め、の 雨の〜
アー、アー

雨の午後の夕方に向かう時間なので
街頭の明かり 水面に写っている
蔦がびっしり生えた 苔にもやられている
桜の木
みんなそろって水面に向かって枝を垂らして
いる
ふーふー、ふふー
はあ、はとの声

遠くの向こうに坂、上り坂
上り坂は明るくなっている
ほーほー、ふーふー
み、どりの鮮やかな手すりとブランコと鉄棒

走っていく人は傘もささずに
立ち入り禁止、柵内立ち入り禁止
わたしがいるのは柵の外らしい
こちらが外で向こうが中らしい
背の高めのベンチ
石 小さい石と大きい石石、石
つるつる ざらざら すべすべ ざらざら ご
つごつ ぬるり

(後略)

このテキストからどういう舞台が立ち上がるのか。
全貌は、ぜひ劇場でご覧ください。

公演は12月8日・11日。チケット好評発売中です。

これまでの稽古場レポート(全三回)はこちらから。


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