見出し画像

転職の話その1

社用携帯が鳴る。

また休日に会社から呼び出された。

ここ最近クライアントと会社からの休日の連絡がすごい。入社当時はほぼ0であったが、仕事量が増えるにつれてどんどん電話が鳴る回数が増えていく。

頼られることは嬉しいが、プライベートの時間にまで食い込んでくるのは遺憾である。俺は自分の時間を犠牲にしてまで仕事をするような人間になりたくはない。


休日の前日のことだ。

17:30 俺は新規の契約を貰い、会社のパソコンが使えなくなる時間まで急ぎの書類作成をしている最中だった。そこで急用ができた上司の代わりに、俺がクライアント(目黒)まで急遽出向かなくてはならなくなった。完全なる「パシリ」である。

まあこの2年間、全ての雑用と成績にならない業務(俺の会社にはやっても無駄な仕事と、自分の給料に繋がる仕事がある)をその度に俺に投げられてきたのでこんなことは日常茶飯事だった。

「わかりました」と俺。やりたくねーよアホお前が行けなんて口が裂けても言えない。俺は超特急で書類を作成し、そのまま車を走らせ目黒まで向かった。

18:00 勤怠認証をし、会社を後にする。高速道路に乗る。ETCバーが開き、アクセルを踏む。小さなエンジンが唸りを上げ、風で煽られそうなくらい貧弱なボディに身を包む。

大型トラック、追い越し車線を猛スピードで通過する高級車。彼らを横目に恥ずかしいくらいに遅い自分の車がどんどん追い越されていく。

「何時に目黒に着くかな」そんなことを考えながら左端のレーンで、ただひたすらアクセルを奥まで踏み続けた。


19:00 目黒。上司のクライアントの元に到着。事情を話し、業務終了。上司と電話をする。これからの指示を仰ぐ。今から営業所に戻っても20:00は確定である。

「今からそっちに向かうから待ってて」と上司。いやここは東京だぞ。俺が待っている意味が無い。直帰させてくれ。時間の無駄である。別に重要な書類があるわけでもないのに。

仕方なく上司を待つことに。ちょうど近くに自分の大学があったので、その近くをぐるっと周り、路駐した。懐かしい。仕事でここに来るなんて思いもしなかった。上司を待つこと約1時間。電話が鳴る。

「やっぱり帰っていいよ」

は?俺の時間は?あなたを待っていたんですけど。時間返せ。

12時間休憩無しの疲労と、昼飯無しの空腹が俺の怒りを殺した。本当なら苛立つはずだが、もうその体力さえも残っていなかった。8月だというのに、手足が震える。昼飯も食わず、12時間ブッ通しで休憩無しの仕事を1週間続けると人間こうなるのかと体感した。

仕事のストレスでろくに寝れていない日が続いていた。猛烈な睡魔。まだ目黒だというのに、これから帰らなければならぬ。

20:30 再び高速に乗る。最後の力を振り絞って絶対に事故を起こすまいと自分を起こす。

21:00 自宅に到着。全てが限界に達していた。俺の家の前で俺の車が止まっている。上司だ。どうやら上司が俺の車に乗って家まで届けてくれたらしい。いや危ない。俺しか保険効かないようにしているから事故したら終わりだぞ。何してんだ。

「助かったよ」と上司。俺は疲れたよ。

車を入れ替え、上司が去る。2回点滅するライトを見送り、自分の車に乗る。明らかに位置が前になったシートに座りでかいため息をした。

ここまで3時間、サービス残業。


今日のことである。

俺は昼過ぎに予約した美容室に向かうため、支度をしていた。クライアントから電話が鳴る。そして会社からも。30分そこで電話をし、予定よりも大幅に遅れてしまった。美容室に遅れることを連絡。セミの大合唱が鳴り響く街を走り、汗だくになりながら美容室に到着。

無事に髪を切り終わった。携帯が震える。会社からだ。

「書類があるから取りに来い」

俺今日休みなんだけどな。

急いで家へ戻る。車を走らせ、職場へ。

速攻で書類を取り、帰宅。18:00。転職関係で調べたいことがたくさんあったのに、何もできず夕方に。

全く休んだ気がしない。自分の好きなこともできずに仕事の為に動いて、生きている意義を感じない。

19:00 筋トレ、晩飯を済ませる。

そこから一気に転職サイト、業界研究を進める。

22:00 流石に疲れる。今の職のヤバさを伝えたい、とブログを久しぶりに描き始める。

24:00 ブログを書き終える。

あ、風呂入らなきゃ。

明日も仕事だ。絶対今よりいいところに就職してやる。


次の職に就くまでこのシリーズは書き続けようと思う。

では。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?