11話　嫉妬

毎日のように優斗の配信を見つめていた千鶴は、彼と結菜が特別な関係にあることを少しずつ感じ取っていた。配信の中で優斗が結菜に向ける微笑み、彼女に対する優しい言葉遣い、そんな些細な変化からも彼らの繊細な関係性を察知していたのだ。

千鶴は自身の心の中で混乱していた。彼女は優斗に対する独特の感情を抱いていたが、それが何なのか、自分自身でもはっきりとは把握できていなかった。しかし、一つだけ確かなことは、優斗が結菜と笑い合っている姿を見るたび、心の奥底に何かが引き裂かれるような感覚を覚えることだった。

優斗が結菜と仲良くしているのを見るのは、千鶴にとって耐えがたいものであった。千鶴は優斗の笑顔を自分だけのものにしたくて、優斗が他の誰かと共有するのを見るのが辛かったのだ。その感情は、優斗と結菜の間の特別な関係をより一層痛感させ、千鶴の心を揺さぶった。

千鶴は、自分が優斗に対して何を感じているのか、何を望んでいるのかを自問自答していた。しかし、その答えは見つからなかった。それでも彼女は、優斗の配信を見続け、彼と結菜の関係を見守り続けた。彼女は優斗に対して深い愛情を抱いていたが、彼は千鶴の気持ちに気づいていなかった。しだいに彼女は優斗に対して嫉妬と憎しみを感じはじめた。彼女は結菜に対しても敵意を持ち始めた。彼女は結菜を優斗から引き離したいと思った。

千鶴は結菜のライブ配信にも参加するようになっていた。二人が同性でありながらも、周りには仲の良さそうな雰囲気を漂わせていた。二人はよく同じ枠の中で同時通話機能を使いコラボレーション配信を行っていた。二人の話題は特に恋愛の話題が「キュンキュン」できるため多くリスナーには好評だった。
リスナーから見た結菜はアラサーという感じだった。千鶴はおおよその年齢は公開しており千鶴の方がお姉さんだった。

千鶴は結婚経験はあり、付き合う男性はいるものの相手に浮気されることが多いことを言っていた。結菜は引っ込み思案なので恋愛経験は少ないものの人がうらやむ大恋愛を数度していることを話していた。
結菜は現在は特定の相手と付き合っていないことを明かしていた。千鶴は何度か結菜にリアルで会いたいと誘ったが、結菜は上手く断り続けていた。

そんなある日、千鶴は結菜と優斗の会話を偶然耳にした。ライブ配信が開始されてすぐの時、二人は警戒心を解いていた。その会話から、千鶴は結菜と優斗がリアルで付き合っていることを知った。ますます千鶴は結菜と会いたくなった。

それは彼女にとって衝撃的な事実で、心の中に嫉妬の嵐を巻き起こした。彼女は二人の関係を壊すために何ができるかを考え始めた。その結果、千鶴は結菜と優斗を引き裂こうとする過激な計画を練り始めた。

その後、千鶴は結菜とリアルで会うために何度も誘いをかけたが、結菜はそれを上手くかわし続けた。しかし、千鶴はある日、結菜がどこに住んでいるかというヒントを得ることができた。それは単純な言葉や事象をつなぎ合わせることで得られた情報だった。

千鶴の心情は、結菜への嫉妬と恨みから、次第に悲劇を生み出すことになった。結果的に、千鶴の行動は後の悲劇を引き起こすことにつながり、それは誰もが予想しなかった事態だった。

（つづく）