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「子宮外妊娠」という言葉を見て何を思うか

『子宮外妊娠』という言葉を見て、あなたは何を思っただろう。

「自分とは関係のない話だな」と思い、スルーしようとしたのではないだろうか。

もちろん、私もそのひとりである。言葉は何度も聞いたことがある。だけど、それが何なのか。得体は知れない。

内臓系の話は怖くて、あまり考えたくないというのもある。

週末に会う予定だった友人に、リスケしてほしいと言われた。
『子宮外妊娠』しているかもしない。検査の予約が、会う予定の日にしか取れない、とのこと。

今まで情報をスルーしてきたつけが回ってきた、と思った。
どう声かけしたらいいかわからない。

危険性がまったくわからないからだ。

まず、検査自体が怖いものなのか。
子宮外妊娠していた場合、そのまま経過観察で済むのか、手術が必要なのか。
手術が必要な場合、中絶という選択を取らなければいけないのか。
手術は体の負担が大きいものなのか。

友人は『卵管』に着床しているかもしれないと言っていたけど、
卵管が何かすらもわからない。

調べてみたら、卵子と精子の通り道らしく、かなり細くてデリケートそうな部分だ。

ここに着床して、これから赤ちゃんがどんどん大きくなると思うと、ぞっとする。卵管が破裂してしまうのではないか。

どうか、友人の体の安全が保障されてほしい。そして、できるだけ負担がないように。それを祈るばかりだ。

と同時に、自分は見たいものしか見えていない、と改めて思う。人の見たいものしか見えない性質は、時に暴力になるんじゃないかと思うことがある。

私が不思議に思うのは、胃や大腸の検査で鎮静剤が使われるのに、婦人科系の内診では鎮静剤が使われないこと。検査機を体内に入れるのは、同じはずだ。検査が怖くて受けられないという人も多い中、婦人科検査で鎮静剤を使っている病院や施設はどれだけ探しても出てこない。

身体の構造上、婦人科検査を生涯受けなくてもいい人は、人口の半分だからだろう。婦人科検査が怖いと叫んでも、人口の半分の人は「自分には関係ない」とスルーする。これが胃や大腸となると、自分事として意識し始めるのに。痛み止めも何もなしでしか婦人科検査がされないことは、問題意識を持つ人が少なくて、社会問題として取り上げられないのだ。

だから、こんな便利な時代になっても、検査手法はずっと変わらない。

これが妊娠・出産となると、さらに問題意識を持つ人の数は減る。当該者にだけ任せておけばいいという考え方をする人が多いほど、新しい技術は生まれない。そんな社会環境では、当該者も不安な気持ちや問題意識を伝えたところで相手を困らせてしまうと思う。何も言えなくなり、何なら言うことがタブーともされていて、さらに伝わらないのが現状だ。

婦人科検査や妊娠・出産は、人口や社会に関わることだ。「自分には関係ない」と思っている状態に気づき、当事者意識を持ってみること。そういう人が増えるだけで、社会はかなり良くなる気がしている。

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