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#15 血縁と地縁とわたし |休職エッセイ


先日、わたしの家に母が遊びに来た。

正確には、母の代わりにネットで頼んだ荷物を取りに来た。
ただそれだけのことだが、母としては久々に会う娘と話すというイベントを楽しみにきたようであった。

「お久しぶりです!血色も良さそうだしよかったわ〜〜」

玄関を開けて早々、早口で捲し立てる母。少し、緊張しているような気がしてその感じが自分にも伝染した。確かに、2人っきりなんて、久しぶりだ。

「お茶、入れるね」

とりあえず、母から少しだけ距離をとり、作業をしながら話すことで、2人きりの場に自分を慣らしていく。いつだって、家に誰かを呼んだ時はそうなんだよなぁ、と妙に冷静な自分が離れてみていた気もした。

基本的には母が最近あったことを捲し立てていく。どうやら退職後にやりたいことがたくさん見つかった様子だった。いつも通り、母の「聞いてよ〜〜〜」がきたな、と思いつつ、ここでも妙に冷静にその場を味わっている自分がいた。

話終わったところで、今度はわたしの番。
「わたし、もうすぐ復職することにしたんだ」

母はもう少し休むと思っていたようで、少し驚いていたが、よかったね、と自然に受け応えた。

その後、あっという間に1時間いろんな話をした。なんだか、本当に久しぶりに何もなく(体調不良で駆けつけた、とか)2人で話切った気がする。いつもは、話したがりの父の話をどちらも聞く側だから、家族でいるとなかなか話せない。

よくよく母の話を噛み締めてみると、やはりわたしはこの人の子供なのだな、と感じた。モヤモヤすることがあるけれど、結局は良い子になることで自分を生かす選択をする自分と重なる話が多かった。

「お父さんに話を聞いてもらっている」という一言を聞いて、なんだか安心してしまった自分がいた。実家で前感じたモヤモヤはともかく、それでも2人しかわからない絶妙なバランスの元で関係を続けている夫婦なのだと実感した瞬間だった。


面白いもので。
自分の家族だから、と思っていたけれど、実は気を遣っていて。
新しく家族になったすぐ近くにある旦那さん実家は、最初は気を遣ったものの、だんだん距離感をつかめて、むしろすごく楽になって。

これが地縁なのかも、なんて考えたりした。
自分に影響が大きいのは、結局物理的に近しい「地縁」の人たちだったりするんだよなあ。
とはいえ、一般的に地縁が「良い縁」になるとは限らないわけで、ご近所トラブルなんかはその最たる例だ。わたしは良縁に恵まれたと言って良いだろう。

職場復帰への不安や心配はある。
それを自分で隠したら、また休職前と同じように爆発するんだと思う。だから、積極的に認めていくことにした。それを認めて、声に出しても、安心できる場所がここにはある。

復職まで、もう、まもなくです。

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