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食べたノート in北海道

こんにちは
常葉大学 造形学部の大場心晴です!

今回は、デザイン学会で札幌に行った際に出された課題でもある「食べたノート」を載せようと思います。✍🏻

⚫︎食べたノートの目的

食べたノートの目的は大きく分けて2つです。

①共感しないチカラを信じる
②勇気あるマイノリティーになる

”「定番」「おすすめ」「映え」、は他者の価値観に倣う共感ごっこや、企業に踊らされる消費者の行動である。
私たちはそれらに背を向け、勇気あるマイリティとして、自分のものさしと言葉を持ちたい。
一人で決めて、一人で動く。
その繰り返しから、「私はこう思う」といえる人になろうと思う。”

これらの目的から、フィールドワークを通してさまざまな態度を身につけようと思いました。

私は2つの食べたノートを書きました!


⚫︎焼きたてのパン

10月20日の午後、私は1人で小樽の街を歩いていた。
あいにくの雨だったが、何か面白いものを探そうと心の中は晴れていた。

小樽駅を出て、とりあえず坂道を下ってみた。大通りではなく、小道に入ってみんなが気づかないような場所を探したかった。

小樽の街をあちこち行き来して歩いていると、緑と白のひさしが特徴的なお店を見つける。そこはパン屋だった。

お店の名前が大きく書かれていたが、そのうちの2文字はもう取れかけている。看板からかなり長くお店を営んでいる様子が伝わってくる。

お店に入ると、音が鳴り、奥から優しそうなおじいさんが笑顔で出迎えてくれた。おじいさんだけでなく、ツヤツヤとしたパンも私を出迎えてくれる。

いつからお店をやっているのか尋ねてみると、「君が3回生まれるくらいだよ」と笑いながら教えてくれた。やはり、看板の文字の数と反比例して、長い歴史を築いているようだ。

パンの並べ方も、私が知っているようなパン屋とは大違いだった。ケーキ屋のショーケースにパンが入れられ、POPに書かれたペンの文字は滲んでいた。

おすすめのパンや得意なパンを聞いてみると「もう全部得意だよ!」と、ニコニコしながら教えてくれる。雨で体が冷えていたけど、お店の中もおじいさんの言葉も温かくて、身も心も温まる。


パンを選びながら、私自身が高校の時の修学旅行でも北海道を訪れた話をした。すると、おじいさんの修学旅行の思い出もポツポツと語ってくれた。

おじいさんは10泊という、とても長い期間で修学旅行に行ったそうだ。
電車を乗り継ぎ、日光東照宮から和歌山まで行った思い出を嬉しそうに話してくれた。
修学旅行という誰もが体験する思い出から、距離が縮まった気がして嬉しい。


私はレーズンパンを選んだ。おじいさんがレーズンパンを白い紙で優しく包んでくれる。


私がお店を出る際も、「今日は夜冷えるから、風邪をひかないようにね!」と笑顔で声をかけてくれた。

素朴な味のするレーズンパンはとっくに冷えていたけど、身も心も温まり、なぜだかパンも焼きたてのように感じた。

人の温かさに触れたそんな出来事だった。

⚫︎国境を越えた関わり

10月22日17時頃、しとしとと雨が降る中、札幌駅を出て大通りから細い道に入っていく。

洋風な建物が活かされたカフェを見つけた。店名が書かれた看板は見当たらず、OPENと書かれたネオンの文字が映える。

傘を畳み、扉を開けると玄関のようなスペースがあり、靴からスリッパに履き替えた。まるで家に上がったような気分だ。床に足を置くとミシミシと音が聞こえる。無意識にそっと歩いた。

さらに扉を開けると、ジャズの音が耳に届いた。そこには温かみのあるレトロな空間が広がっていた。

1921年築の元北大教授の邸宅をリノベーションしたカフェだそうだ。

店主のおばさんが笑顔で出迎えてくれ、4人がけのテーブルに座る。
お冷と手書きのメニューを手渡され、まじまじと見る。

私はワッフルプレートを注文した。メロンやオレンジなどのフルーツとカットされたワッフルがおいしそうに盛り付けられていた。

コーヒーの香りが漂う店内で、ゆっくりとした時間が流れる。

お店の入り口に、英会話教室の紹介があったことをふと思い出す。店主のおばさんに英会話教室のことを尋ねてみると、アメリカ人のスタッフがいて、その方が教室を行なっていることを教えてくれた。


おばさんに「あなたも英会話をやっていたの?」と尋ねられた。大学1年の頃にフランス語の授業を取っていたことを話すと、おばさんもフランス語を勉強していたことを話してくれた。

流暢なフランス語を披露され、圧倒される。
仏検3級のフランス語力は確かなもので、私のフランス語とは大違い。
私のおかしなフランス語の発音も訂正してくれた。

英会話教室だけでなく、近くに住んでいるフランス人を招いて、フランス語教室やフランス流のクリスマスパーティを行っていたことも教えてくれた。

外国人の知り合いが多いことに衝撃を受ける。
お店のスタッフも、全員外国人のようだった。

海外から来るお客さんもかなり多いそうだ。
シンガポールや韓国、中国やイギリスなど、挙げたらキリがなかった。
海外のお客さんとは、カタコトながらもコミュニケーションをとっていることを教えてくれた。

地域のみならず、世界中を巻き込んでお店を営んでいることが伝わってくる。

大正浪漫の溢れるお店の良さや互いの文化を伝え合おうとする試み、そして海外の方と積極的に歩み寄り、関わろうとする姿勢が、心を通わせるきっかけになっているのだろう。

ワッフルプレートを食べ終わり、私たちが帰ろうとすると扉までお見送りをしてくれた。
このお客さん1人1人を大切にして、もてなしている様子から、居心地の良いゆったりとした空間になる理由がひしひしと伝わってくる。

積極的に人との関わることや、心を通わせようとさまざまな工夫をすることの大切さを改めて感じた出来事だった。

⚫︎まとめ

私はこの「食べたノート」を通して、一人旅に対する抵抗がなくなってきた気がしました。

なにも計画せずに、自分が行きたいところや気になったところ、誰も行かなそうなところに足を踏みいれる。

少し前の自分だったら、絶対にできていなかったと思います。

勇気を出して見知らぬ人に話しかけたり、少し怖いような場所に行ってみたりして、少しは自分のものさしを持つきっかけになれたのではないかなと思いました。

今回の学会で、札幌市立大学の学生さんとお話しした時、「私はゼミで入りにくいハンコ屋さんにみんなで入ったことをきっかけに、一人旅への抵抗が消えた。1人で飲みに行ったこともある。」とおっしゃっていました。

このお話と自分の食べたノートの経験から、なにかしらのきっかけを掴んで、自分のものにしていくそんな経験が自分の視野や創造力を鍛えることに繋がるのかなと思いました。

これからも自分のものさしをうまく築けるような経験を積み重ねていきたいと思いました。

長い文章でしたが、ここまで読んでくださりありがとうございました!👣

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