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令和4年10月の朝礼

 全国の地方公務員のみなさん、おはようございます。10月に入り、急に秋の気配が深まりましたが、先月は災害の立て続いた月でもありました。8月末に発生し、月初めに上陸した台風11号に続き、中旬には特別警報が立て続いた台風14号、さらには月末に猛威を振るった台風15号と、先月は台風による大風や大雨による人的、建物、インフラ、農業生産などに対する被害が重なりました。それぞれの現場において対応していただいているみなさんにはお礼を申し上げます。特に台風15号による静岡市内の断水は大規模かつ長期化し、各地から広域給水支援も行われ、いざというときの自治体間の相互支援が働いていることを確認することができました。

 その一方で、静岡県と静岡市に対しては初動が遅かったという批判も行われました。危機に際してどのように対応し判断するかは難しいところですが、こうした場合の日ごろからの手順の確認をしっかりとしておくようにしてください。いざというときには想定外のことには気が回らないため、平常時から思考訓練を重ねておくことが大切です。

 こうした批判と並行して世論が反応したのが、先月27日の故安倍晋三元内閣総理大臣の国葬儀でした。国論が二分されたと言われましたが、直前の世論調査では各社とも反対が51.9%から62.3%と過半数に達し、儀式が終わっても昨日から今朝にかけての最新調査でも良くなかったが54%を占めています。これは、「聞く政治」と自称しながら国民の声に聞き耳を立てられず、説明責任がまったく果たせなかったことから来ていると言えるでしょう。国民の疑問に正面から相対せず、詭弁やはぐらかしやだんまりなどで世論が静まるのを乗り切ろうとする姿勢が国民から見透かされた結果であると言えます。昭和の時代であれば失言ひとつで政治家の首が飛んでいましたが、今の政治家は国民に自己責任を強いながら自己保身に汲々とするダブスタ姿が国民の目に映っているのは残念なことです。

 さらに説明責任が果たされていないのが統一教会との関係です。統一教会は名称を変更しながら霊感商法やステルス布教を行い、強制性を伴う合同結婚式や2世問題も指摘されるなか、日本人信者から高額の寄附を求め、それを原資に日本だけでなく世界的に政界工作を進めてきました。与野党ともに絡めとられながら、特に与党にとっては反共を掲げるという意味で親和性を持って語られながら、韓国では反日的な教えを説いているという教団のダブルスタンダードにどう対応するのか、これも国民世論からは説明責任が絶対的に不足しているとされています。

 カルトの問題は地方自治体にとっては深刻なもので、かつては熊本県旧波野村や山梨県旧上九一色村がオウム真理教に乗っ取られようとしましたし、洗脳やそれに伴う反社会的行為、そして、信者と住民の二律背反に苦しむことにもなりかねません。オウム真理教の場合は政府を武力で乗っ取ろうとしてきましたが、統一教会の場合は地方議員や地方行政から積み上げていく方式を取っていますので、地方自治の現場においてはより注意が求められます。

 さて、10月1日は値上げラッシュでした。今月の値上げは6699品目にも上るとされており、先月の3倍となっています。その範囲も食料品や生活必需品が多く、住民生活を直撃しています。その一方で、賃上げは遅々として進んでいませんが、政府は原油高に対する支援からの出口戦略が見当たらないうえに、防衛費の増額を増税で賄おうとしているようで、これからさらに住民のくらしは窮乏化しかねない状況にあります。令和5年度当初予算案の編成方針が示される時期となりましたが、住民生活の維持を最優先とする予算組みをお願いしたいと思います。

 政府は先月末の閣議で「物価高・円安への対応」「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」の三つを柱に総合経済対策を策定すると表明し、今月末に第2次補正予算案を取りまとめて今日召集される臨時国会に提出するとしていますが、冒頭解散がないように祈りたいと思います。大義のない解散で地方自治体の現場が選挙事務に便利遣いされることが重なれば、確実に現場は疲弊していくことになるからです。

 先月末には神奈川県伊勢原市で高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されました。新型コロナウイルスについては一時に比べれば小康状態となっていますが、医療現場のひっ迫はまだ続いています。インフルエンザとのダブル流行だけでなく、新たな感染症に対する備えも求められてきます。自治体の現場は待ったなしです。

 今月からは秋アニメが始まりました。SPY×FAMILYやポプテピピック、ヒーローアカデミア、宇崎ちゃん、ベルセルク、ゴールデンカムイ、モブサイコ、BLEACH、うる星やつら、チェーンソーマン、弱虫ペダル、ヤマノススメなど、並みいる強豪アニメがあるなかで、注目は「農民関連のスキルばっか上げてたら何故か強くなった。」です。主人公のアル・ウェインが一流の農民になるべく農民関連のスキルを磨き続けたら農民スキルのレベルがオール10のMAXに到達し、冒険者となって農業以外の問題を解決していくというお話です。今の不確実な時代にモノを言うのは表面的な知恵ではなく、コツコツと築き上げた能力であるということでしょう。民間との出入りが多くなりそうなこれからの時代の公務員にも、一過性の即戦力とは異なる骨の通った地方行政の力を自らのものにしておく必要があるのではないかと指摘をしておいて、今月の朝礼を終わります。

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