見出し画像

令和4年7月の朝礼

 全国の地方公務員のみなさん、おはようございます。今日から7月、暑い季節が始まりました。同時に節電期間も始まります。
 暑い季節と言っても、今年の梅雨は異常で、沖縄や奄美、関東甲信越で例年より早い梅雨入りとなりましたが、そのほかの地域では梅雨入りが遅かったにもかかわらず、梅雨明けは無茶苦茶早く、北陸や東北南部では例年より25日も早い梅雨明けとなりました。
 東北北部だけはまだ明けていませんが、東北南部以南の地域では梅雨の期間が極めて短かったため、これから水不足の心配をしなければならないかもしれません。農業水利や生活用水、愛知県では漏水で報道を賑わせた工業用水、環境保全のための通水などに関係する部署では水の確保に注意が必要になってきます。さらに、消防関係者は自然水利の確保が可能かどうかについて、発災前の確認を常に行っておいてください。

 さて、先月23日は沖縄慰霊の日でした。第二次世界大戦においてわが国の国土で地上戦が交わされたのは東京都の硫黄島と沖縄本島、千島樺太交換条約で合法的に日本国土となっていた千島列島の占守島の3カ所でした。
 このうち、硫黄島と占守島では疎開したり不在だったりで住民被害は出ていませんが、前哨戦としての慶良間諸島も含め、沖縄本島では多くの県民が戦火に倒れました。大本営発表で統制された情報を先入観とした県民に、直前に赴任した島田叡知事の疎開指示が十分に浸透するまでに米軍上陸が始まり、多くの県民が戦火に倒れる結果となりました。沖縄戦の記憶は国民保護が十分にできなかったという悔悟の一念として語り継がれなければなりません。
 一方、千島列島へのソ連軍の侵攻は国際法を無視した行動で現在のロシア軍によるウクライナ侵攻と同義です。かつてはわが国が仕掛けた戦争の反動としての連合国軍の上陸となりましたが、戦後国際秩序が流動化した現在では、一国平和主義を唱えていても、違法戦争を躊躇しないというロシアのような行動は抑制できません。
 外交や防衛は国の専管事項としても、自治体としては偏向した情報に固執するのではなくあらゆる可能性を考慮して、国民保護の計画を実働できるものにしておく必要があります。もはや、防災4.0の先に国民保護を常時想定しなければならない時代となりました。

 ところで、同じ23日、全国の自治体を震撼させるニュースが飛び込んできました。尼崎市で全市民46万人分の個人情報が入ったUSBを紛失したというものでした。しかも、委託先業者の従業員が作業のために無断で持ち出し、その後初期化もせずに居酒屋へ持ち込んで、泥酔した挙句、カバンごと紛失したという案件でした。
 さらに、紛失したという従業員は自力で探そうと会社への報告を遅らせたとか、実は委託先業者ではなく違法な再委託先業者の従業員だったとか、情報が二転三転したことで、USBが発見されて情報漏洩はないと市が発表しても、市民の信用は十分に得られない感じがします。
 当然、契約違反行為を含めたインシデントを繰り返した業者は責められるべきですし、こんなことが重なれば行政サービスの民間企業への委託そのものを見直さなければならなくなってしまいます。しかし、市の側としても大切な住民の個人情報を業者に丸投げして情報の取扱いがずさんではなかったか、という点を十分に反省しなければならないでしょう。
 そして、ことは尼崎市という別世界の問題ではありません。全国の自治体が自分事として取り組まなければ、自治体デジタル化そのものの信頼性が地に墜ちてしまいます。各自治体においても、今一度それぞれの手順をひとつずつ丁寧に見直して、些細なミスも起きないように取り組んでいただきたいと思います。

 別世界ということで言えば、そろそろ異世界ものも飽和状態になってきましたが、7月から始まる夏アニメの中に異色の異世界ものがあります。それが「異世界おじさん」です。
 交通事故の昏睡状態から17年ぶりに目覚めた叔父が語ることは、それまで住んでいたという異世界グランバハマルのこと。しかし、異世界で獲得した魔法を持ち帰り、精霊と意思疎通しながら、現実世界ではユーチューバーとして生計を立てるという物語です。
 叔父はもともとヲタク系で、異世界に行く前も人間関係に難がありましたが、それが災いして、せっかくの異世界ものなのに主人公の思い通りには行かずに酷く苦労するという異世界ものの概念を突き崩す作品です。
 このアニメから、少子化や人口減少だけでなく孤独孤立対策に対しても真剣に取り組む必要があるというメッセージも受け取っていただきたいと期待し、今月の朝礼を終わります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?